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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
恐怖心との対峙,
By 加持啓介 (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 熊の場所 (講談社文庫) (文庫)
友達に指摘されてなるほどと頷いたのだけれど、「熊の場所」は村上春樹「七番目の男」の話と酷似している。「七番目の男」において、恐怖の対象は“波”であったけれど、物語の最後、語り手である主人公は恐怖を覚えた波打つ海岸にてそれを克服する。そして「しかしなによりも怖いのは、その恐怖に背中を向け、目を閉じてしまうことです。」と結論付ける。明らかに「熊の場所」にて語られる父の体験談「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐ戻らねばならない」に酷似している。「七番目の男」は約四十年もの間、恐怖に苦しみ続けることになった。だから、「すぐ戻らねばならない」のだ。さて、舞城王太郎は村上春樹に影響を受けている「春樹チルドレン」の一人であると言われているが、それを踏まえたうえでこの物語を考えてみると、お父さん=村上春樹、“熊の場所”の話=“七番目の男”の話と捉えることができる。そして、そんな父の体験談を思い出し、それを教訓として恐怖を克服するために頑張る少年・沢チン=春樹チルドレンな舞城王太郎の話、と言う図式が浮かび上がるように思える。つまりこの「熊の場所」は村上春樹へのトリビュートとでも言える作品なんじゃないかなあ、と思った。どうでしょう?ちなみに、確証はありません。ごめんなさい。笑(「バット男」「ピコーン!」についても書きたかったのですが字数の関係で割愛しました。)
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
舞城入門書(?),
By カスタマー
レビュー対象商品: 熊の場所 (講談社ノベルス) (新書)
舞城王太郎という作家が気になりだして、何か読んでみたいなーと思う人にお勧め。そうでない人にも勿論ですが。 独特の乱暴とも言えるスピード、リズムあふれる文体でつづられる短編集。どの作品も伝えるテーマは違うけれど、とにかく作品ひとつひとつにパワーがある。舞城氏の他の作品は、これらの持つパワーがもっとエスカレートしているモノだと思っても良いかも知れません。これを読んで何か感じるモノがあればそっちにも手を出して欲しいです。
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
悔しいけど感動。,
By ザキノ (熊本県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 熊の場所 (講談社ノベルス) (新書)
僕はこの本大好きです。文体は勢いがあるとも乱暴とも言える感じで、酔える。 そこんとこは人によって印象が異なるだろうけど(ドライヴ感ってやつか・でなきゃ嫌悪感だね)、内容はけっこうマジで、ずっしりと胸に来るものがある。文体がどうあれ、あるいは文体の効果のおかげなのか、登場人物たちの痛いくらいナマナマしい感情とか想いとか願いはちゃんとコトバに乗って読者に届いてると思う。 僕は特に『バット男』に感じるものがあった。 どうしようもなくこんがらがって、誰もそこから抜け出せなくなってるゆがんだシステムの存在。それが自分や自分が大事に思ってる人を苦しめてる現実。小さな邪悪さとか愚かさが組み合わさって巨大な災厄になってる現状。それらに対する嘆きの感情は、やっぱり、苦しい。 この苦しさの感覚はたぶん文化や時代に関係なく人類が共通して持てるものだと思う。なのに、なんでそういう「災厄のシステム」は一向になくならないのだろう?人間の知恵では人間自身の歪みは取り除けないのかなあ。ちっくしょう、哀しいなあもう。 などというようなことを、読みながらいろいろと考えてしまうのでした。 こういうの、感動したって言うんですよね? 自分の中でも文体に賛否両論あるだけに、この感動は結構「にくい」。 悔しいけど、ヘイヘイ、マイジョウの兄貴、やるやん?すげえやん?て感じ(かンなり影響うけとるなコレ)。 それは『熊の場所』でも『ピコーン!』でも同じ(もちろん伝わってくるモノ≒テーマはそれぞれ違うけど)。 とにかく、小説の持つすごいパワーはばっちり感じられる一冊だと思う。
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