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照柿〈下〉 (新潮文庫)
 
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照柿〈下〉 (新潮文庫) [文庫]

高村 薫
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

『マークスの山』に続く 合田刑事第2幕
「こんな人生、もう嫌なの」
その瞳が、2人の男を狂わせる。

難航するホステス殺害事件で、合田雄一郎は一線を越えた捜査を進める。平凡な人生を17年送ってきた野田達夫だったが、容疑者として警察に追われる美保子を匿いつつ、不眠のまま熱処理工場で働き続ける。そして殺人は起こった。暑すぎた夏に、2人の男が辿り着く場所とは――。現代の「罪と罰」を全面改稿。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

野田達夫を次第に追いつめてゆくのは工場での果てなき労働、そして不眠…。一方、合田雄一郎は佐野美保子を欲するあまり、常軌を逸しはじめた自分に気付く。十八年前に分かれたはずの人生が、なぜ再び交わってしまったのか!意志もなく踏み出された数歩。生命を失った物体が深夜にごろりと転がった。一睡もできぬほど暑い夏の出来事だった。照柿―それは断末魔の悲鳴の色。

登録情報

  • 文庫: 349ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/8/28)
  • ISBN-10: 4101347220
  • ISBN-13: 978-4101347226
  • 発売日: 2011/8/28
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:文庫
文庫化に際し大幅な加筆修正がなされているのだが、単行本を読んだのがかなり以前であったので初読のつもりで読んだ。しかも、高村薫の作品は軽い気持ちで読むことができるような内容ではないばかりではなく、著者自身も読者に居住まいを正して読めと言っているような気がしてならないので、気合を入れて読んだ。

重苦しい。暗い。救いようがない。そんな言葉ばかりが浮かんでくる。硬質な文体と相俟ってその世界に引きずり込まれていく。ストーリーは覚えているはずなのに本を閉じることができずに、ほぼ徹夜で上下巻を読み終わってしまった。

高村薫は自身の作品をミステリーではないしそれを書いているつもりもないと語って(書いて?)いる。では、どのジャンルなのかと考えてみても思いつかない。純文学の色合いも濃いがストーリー物として読んでもイッキ読みが可能な作家だ。高村薫とはジャンル分けすることのできない孤高の存在なのかもしれない。

それにしても「照柿」というタイトルは素晴らしい。これは著者の造語ではなく日本の伝統色の名前だが、作品全編を通じる色彩と熱を見事に表している
このレビューは参考になりましたか?
13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
単行本出版から12年もかけてようやく文庫化。

「マークスの山」の時もそうでしたが、大幅に加筆修正されてますので、既読の方もぜひ。(以下は未読の方向けのレビューです)

一言でいえば、非常に暑苦しい本です。

狂ったように暑い夏のある日、18年ぶりに再開した2人の男。

心と体をすり減らし、なお歯車にもなりきれない歪んだ刑事と、圧倒的な芸術への渇仰を持ちながら、熱処理工場で汗まみれになるその幼なじみ。一人の女を巡って二人の人生が再び交錯することに。

それそれの人間が背負った過去、家族という名の他人、他者の才能への嫉妬、繰り返される日常の疲労と夏の暑さ・・・そうしたドロドロした何かが重層的に積み重なっていき、ある意味唐突に悲劇が起きて、物語は幕を閉じます。

上巻からうねりのように繰り返される「照柿色」のイメージが、この下巻の終盤には、圧倒的な迫力、現実感をもって胸に迫ります。

現代の『罪と罰』などと評されていますが、文庫版解説にもあるように、ドストエフスキーでたとえるなら、「白痴」や「悪霊」の方が雰囲気が近いでしょう。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By pampino
形式:文庫
上巻から感じたこの感じ。
ようやく気づいた。

そうだ、ロシアなんかの寒い国で、社会主義国家の昔の文学に似てる。

抑圧された労働者の日常と劣悪な職場環境。
上下関係の階級社会。
苦悩しっぱなしの主人公。
最後の書簡に至るまで、主人公を始め、およそどの登場人物にも同調できない苛立ち。

特に極悪人が描かれるわけでもないし、奇抜な設定でもないのに、
何十年も前の設定の話を読むかのように自己投影ができない。
自己憐憫と自己欺瞞と鬱屈された嫉妬と抑圧された欲望が、
そこここにぽっかり、口を開けている。

重さが耐えられるのかいなか、筆者が読者を選ぶようなスタンスがそこに。
筆者の渾身の、という評価に十分値する力作。

・・・ただし、ミステリを期待した私にはやや荷が重かった。
桐野夏生の、ミロシリーズの堕ち方を思って、ちょっと怖くなったというのが正直な感想。

・・紹介文を読み、現代の罪と罰、というコピーに少しナットク。
なーんだ、刑事は出てくるのに、刑事物じゃないんだね。
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