筆力が新人離れしている。
世界観の構築も自然に、そして新人にありがちな難解な比喩も特になく、熟練の書き手かと思った。
あとがきにもあるが、筆者は17年間もデビュー出来なかったので熟練なのはあながち間違ってはいないだろうが
そのことは信じられないのと同時に、非常に残念に思った。
構成が絶妙だった。
一つ一つ語られる話も簡潔にまとまっていて良いのだが、
(個人的には「魔物の告白」が良かった)
これがただの短編集だったら大賞受賞には至らなかったと思う。
読み進めていくうちに、もしかしたらこの話は前の話と対応しているんじゃないか、繋がっているんじゃないか、
もしかしたらこの語り部は本当はこの話の登場人物なんじゃないか、など読み手に様々な推測をさせる。
そして物語は静かに収束し、終わりを迎える。
決して嫌味にならないこの作りはまさに構成の、書き手の勝利だと思う。
とにかく、数ページ読んだらページを繰る手が止まらなくなった。おすすめです。