呪われた姫君アルテミシアと人外の従者フォグが紡ぐ重厚世界ファンタジー第二巻。表紙のとおり、前回は「友達」として通じ合えたはずのキリエが敵となって現れます。それも、多大な悪意を携えて。
前回起きた「グラフの数珠」に関する事件を解決した二人。後始末はまだ残っているもののつかの間の平穏を楽しむ。だが、そんなフォグに国の経済や組合を取りまとめている組織「レキュリィの宴」から呼び出しがかかる。参上し、頭首と出会った彼が知ったのは、自分と同じ存在である妹たちの存在、そして自らの未熟さであった。一方、前回の戦いからからくも生き延びた人造人間化した青年イパーシ。自らが抱える殺人欲をどうにか抑える彼だが、さまざまな思惑のもと強大な力を手に入れた彼は理性の箍が外れ、凶行に及び、殺戮を繰り返す。それは、さまざまな思惑と悪意が入り混じった大混乱を引き起こす事件へと発展していくものだった。
前回同様、人の悪意というものがよく描かれています。グロいシーンもあります。ですが「気持ち悪い」だけで終わらせないものを感じますね。また、前回とはがらりと変わったキリエがまたすごいです。人を追い詰めるのは、決して理不尽さや単純な暴力だけではないということがよくわかると思います。その他の登場人物も一癖二癖なんてものじゃありません。嫌気を感じさせないところはさすがと言うべきでしょうか。フォグとアルト、そしてイオの三人で和む姿が唯一の清涼剤です。
政治的な動きや人の思惑というものも面白いですが、戦闘シーンも充実していたと思います。こういう「ルールがあるファンタジー」と「戦術」の2つがしっかりしているもの、大好きなんですよ。駆け引きとかが面白いです。すごいなぁ、藤原先生。
単純な善人、いわば「お人好し」はいません。まともな部類だと思っていたトリエラですが・・・最後の方を見るとやはり彼女も大事な部分が欠落していたんだと思い知らされます。新たな事件への火種も生まれたことですし、今後を楽しみにしたいと思います。あと、並行して執筆されている「@HOME」も期待大です!