著者のLobinさんは、日本人である。女性である。
30代半ばにASD(広汎性発達障害)と診断されている。ASD(広汎性発達障害)は自閉症の連続体の中のひとつである。
通常、当事者としての体験を記すのは言語的遅れがないアスペルガー症候群、高機能自閉症などのひとだが、
(本書を信じれば)Lobinさんは、カナータイプの自閉症で例外的に言語的な能力が発達しており、知的能力も高いという医師の判断である。
自閉症の表れ方は便宜上、3分類されるが、積極奇異型(人と話したがるが内容は一方的で偏っている)
孤立型(ひとりでいるのが好きで自分の世界に閉じこもる)受動型(決断できない、指示待ち、他人に流される)
のうち、受動型である。
そして、著者のLobinさんは精神科医でもある。
子供の頃から、Lobinさんは、自分の心の中に冷静でプライドと教養高い”彼”と
従順で明るく男性に好かれる”彼女”を作ることで、世間に対処してきた。
しかし、Lobinさんにとって”彼”も”彼女”も”自分”ではなかった。
私が非常に興味をもった点のひとつはLobinさんに診断名をつけた医師の所見であるが、
それについては残念ながら殆ど触れられていない。