0.9999999....と無限に9を続けていったとき、その数は1に収束する、と学校で習った記憶のある読者は多いであろう。実際、0.999999....は、ひたすら桁数を増やしていけば、いくらでも1に「近づける」ことができるのであるから、0.999999....=1としても良いように思われる。その一方で、よくよく考えてみると、左辺はどんなに多くの桁をとっても1より小さいのだから、いくら桁数を増やしても、決して1に等しくはならないのではないか、という疑問を持つのも、当然である。こういった疑問に対し、「それが収束の定義なんだから受け入れろ」とか、「アキレスは実際には亀に追いつくんだから、ゼノンの逆理に惑わされてはならない」といった説明がなされることが多いが、この本はそういったごまかしを一切せず、「無限」と真っ向から対峙して、こういった疑問が、数学的にも、哲学的にも、実は、非常に意味深な疑問であることを教えてくれる。一般向けのエッセイであるにもかかわらず、一切の妥協をせず、数学者達が、いかにして無限と付き合って来たかをまともに論じている本である。学校で習ったことを、あまり反省せずに受け入れて来た読者は、ショックを受けるかもしれない。また、学校で習ったことに納得できず、ずっと違和感を持ち続けて来た読者は、その違和感が正しかったことが立証される。理数系の高校生や大学生に、是非、読んでもらいたい名著である。