『ハッシュ!』で有名な(?『ハッシュ』が有名なのかな)橋口亮輔監督のエッセイ集。ああ、なんか特殊な人の特殊な人生論かな、と思って読み始めたけど、月並みですが、勇気の湧いてくる本でした。
最近、『ポジティブになれる本』の類が書店を賑わせ、それがベストセラーになっている。でも、それらに本当に背中を押されて明日の元気をもらえる人ってどれくらいいるんだろうか。飲み物にたとえると、ゼナとか、オロナミンCとか、その場しのぎですぐに効き目の落ちる栄養剤のようなものに私は思える。
でもこの本は違う。どうしようもなく寂しくて、電話する友達もいなくなった夜に飲んだホットカルピスのような優しさがある本。前向きに生きよう、と肩肘張らなくても、こんな自分にも仲間がいて、信じる人が何人かいるという事実は、驚くほど人を元気にするんだという当たり前の事実を、優しくてちょっと卑屈な言葉で伝えてくれます。読み終えて、ありがとう、といいたくなる本です。