この映画を見る際に必ず考えて欲しいのが
この映画が作られた「時代背景」です。
第二次大戦中
反戦を唱えた芸術や自国の負を描いた芸術は
徹底的に政府によって弾圧されていました。
また、この時代の映画というものは
「観るものに夢や希望を与える」ことが第一で
「真実を描く」なんてことは二の次だったのです。
故にこの「無防備都市」は
そういった風潮に屈せず、作られた作品なのです。
ロベルト・ロッセリーニ監督は
ほほえましい家族げんかや
結婚を控えた男女に待つ悲劇
反ナチ運動を行う大人の真似をする子供たちを描くことで
一市民の視点から戦争の無益さ
戦争がいかにして人々の幸せをぶち壊すのかを
徹底的に描きました。
また
命を引き換えにしてでも
反ナチ運動を行う若者の悲惨な最期を描くことで
一イタリア人の視点から
当時イタリア北部を占領していたドイツ軍の
残虐さ、冷酷無慈悲な面を
そして同じような行為に及んでいた祖国の暗部を
ためらうことなく描きました。
そして
同じ民族どうしでの裏切りを描くことで
一人の人間の視点から
人間の欲深さ、醜さを
余すことなく描ききりました。
この映画を観て、心を揺さぶられない人は
きっといないでしょう。
戦わなければならなかった時代に
戦うことの無意味さを私たちに投げかけたのですから。