ここ最近、やはり山田詠美の時代は終わったのか、、と(勝手に)思ってました。
彼女の良さはデビュー作に代表されるような奔放でジューシーな恋愛物語かと・・。
そしておそらくはそのような恋愛からは一歩また一歩と作者自身が離れていくに従い、
作品は精彩を書いていくのではないかと思ってましたが。
しかし彼女は、やはりストイックな求道者でした。この本には真実しかないです。手抜きなし!
愛とは実用性に富んだものであるとの考えをみごとな手法で具体化させました。
恋愛だけでなく、家族愛、自己愛、すべての愛について彼女なりの解釈を余すところ無く体現させています。
若いころと比べ文体は非常にシェイプアップされ、もって回った言い回しも肩に力も入って無く、読んでいて気恥ずかしい感じはまったくなくなりました。
そしてあれほどまでに得意だった性的描写はかなり少なくなり、
代わりに食事や日常をシェアする様子が増えてます。
それらがしっかりと愛情を描写できると確信を持って書いているのでしょう。
怖い人です、本当に。最後の一文も、甘やかさのなかでそれを許さない厳しさ。
のん気で日常的な題材を扱いながら、愛の恐ろしさを余すところ無く書いてます。確信犯で意地悪です。