庭で一杯のコーヒーを飲むだけでも、日常がちょっと変わって見えてくる。いつものコーヒーなのに、なぜかいつもよりおいしく感じる。風にも音や色があることを発見したり、ふだんは気づかないいろんな小鳥のさえずりがここちよく耳に響いたり……。さらに目を凝らせば、さまざまな生き物たちが見えてくる。そう、庭は生き物たちの宝庫なのだ。
そんな庭のおもしろさを再発見させられるのが、長年、無農薬で庭を維持・管理してきた、プロの植木屋夫妻によって書かれた本書である。
これまで、プロ・アマを問わず「農薬を上手に使いこなす人」が園芸の達人と言われてきた。だがこの本では、化学農薬をいっさい使わず、剪定で日当たりや風通しをよくしたり、オーガニック・スプレー(自然農薬)の使い方や、植物と虫の生態を知ることなどでオーガニックに庭を管理する方法を解説している。今までの園芸書とは価値観がまったく違う一冊。
また、「使いやすい庭」をキーワードに、「農のある庭」「ベランダ・ガーデン」「キッズ・ガーデン」「ペットと暮らす庭」など、目的別に庭のデザインが紹介されていて、イラストを見ているだけでも楽しい。
庭が使いやすくなればますます庭に出たくなり、庭に出ればいろいろな生き物たちのつながりや自然の営みにも気がつくという、庭の楽しい循環を積極的につくっていこうという考え方だ。
庭づくりを計画している人、今の庭をなんとかしたい人、農薬を使わずに庭づくりをしたい人には、とても参考になる一冊。また、庭づくりのいろいろな疑問が紹介されているQ&Aのコーナーも充実しており、意外に知られていない庭道具の使い方や、素朴な疑問にもていねいに答えてくれている。