本物のお嬢様になることを目指し、県内一の名門カトリック女子校に通う岩岸桐子。ひとつ年上の彼、郁くんとの恋、クラスメイトとの摩擦、そして母の死。少女から大人になる途中の、敏感な年ごろの日常を、痛みやすく、グロテスクにも見える果物、無花果(イチジク)になぞらえて描いている。女の子のひとりごとをつづったような、日記調の語り口が特徴だ。
登場するエピソードは、思春期のころ、だれの身にもおぼえのある通過儀礼といえるものばかりだ。「お下劣な」環境で育ったことをひた隠しにしていた桐子が、教師たちの教えに疑問を持ち、自分は「似非お嬢様に過ぎないのだろうか」と考える。性や大人社会に初めて対峙した少女が、やがて芯の強い女性に変わっていく姿が、凛としてたくましい。主人公の成長録をベースに、背伸びするほど滑稽になってしまう年代のおかしさを描き、随所にチクリとした皮肉を散りばめる。正統的なストーリーの裏に毒をひそませた、ひとひねりが効いている。(砂塚洋美) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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コドモじゃないけどオトナじゃない、賢いけど小利口じゃない、消化できない感情や怒りや切なさがないまぜで、行きつ戻りつぐるぐるしてしまう感じが『薫クン』的。本当に私が高校生だった頃に読んだとしたら、どんな感想を持っただろうと、ふと考えてみたりした。
それにしても、以前に読んだ”腦病院へまゐります。”とは極端に文体が違うことに驚いた。
解説にもあったように、描く題材によって書き方を大きく変える作家なのだろう。こうなると、当然他の作品も読みたくなる。
これからの作品も楽しみだ。
この中でのクライマックスは、憧れの男の子との初体験で、これはなかなかロマンチックな場面です。いろいろなことがありながらも前向きで明るい主人公はクラスに一人くらいはいた、清らかでまっすぐな子、という感じ。ひねくれものの私にはちょっとまぶしかったです。また、「イケナイ」「○○クン」というカタカナ書きが20年位前の女子高生を連想させ、いつの時代だろうと首をひねりましたが、オートロックのあるマンションなどがでてくるところをみると、最近の時代みたいですね。どこかレトロな雰囲気を漂わすのがこの作家の特徴なのでしょうか。
それにしても、初体験後に「実は東京に進学するんだ」と告白する男の子ってずるいな。
女性が読まれたら、きっと過去の自分の経験を思い出す事でしょう。
なんといっても、独自の世界観を持った文章が生々しく綴られています。
地方の八百屋の娘であるまさに青春小説にうってつけと言わんばかりの主人公が、成長していく姿を日記風に綴った物語であるが、17歳の女性の恥じらいと好奇心をビビッドな文体で表現しているので、男性の視点から見て可愛いと思わずにいられません。まるで、自分が主人公に恋しているような気を起こさせます。
“当たり前の体験”を“ごくありきたりな少女”を登場させることによってインパクトの強い恋愛小説に仕上がってます。
読後感もよく、たとえ郁クンと別れても主人公がこのあとハッピーな人生を送れるように拍手を送りたい気分に強くさせてくれました。
タイトルの“無花果日誌”のネーミングにも感心しきり状態です。そうそう、亡くなった母親との親子愛も上手く表現している事を付け加えておきます。
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