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無花果の森
 
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無花果の森 [単行本]

小池 真理子
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

夫の暴力から逃れ失踪した女が、身を潜めた地方都市の片隅で生き抜く姿を静謐な文体で描ききり、現在に生きる人が抱え持つ心の闇に迫った力作長編! 絶望と希望、生と死の境界に怜悧に斬り込んだ著者の新境地!

内容(「BOOK」データベースより)

夫の暴力から逃れ、失踪。過去を捨て、未来を見失い、世間に怯える絶望の暗い谷底にかすかに射した一条の光―孤絶にあえぐ現代人の心の闇に迫る傑作長編。

登録情報

  • 単行本: 485ページ
  • 出版社: 日本経済新聞出版社 (2011/6/2)
  • ISBN-10: 4532171059
  • ISBN-13: 978-4532171056
  • 発売日: 2011/6/2
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 16,185位 (本のベストセラーを見る)
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
小池真理子氏の本は大好きで、しかも今作は「DVを受けた女性が新しい人生を切り開いていく物語」と聞いて、期待して読みました・・・が。

残念ながら期待外れ。

展開が都合が良すぎる。

DVを受けた妻が夫から逃げ出して見知らぬ街に住みついて、

そこに顔見知りの同じく逃亡中の男性がいて、当然のように結ばれて・・・って、

作中の台詞にもあるように「安手のドラマみたい」。

DVを受けた女性・DVをする側の男性の実態にも、真に深く迫っていない。と強く感じました。

何というか、DVに対するイメージやデータだけで書いた描写みたいでした。

実際は、DVをする側は、その人がいないと生きていけないかのように被害者に思い込ませ、感情的・精神的に被害者を

コントロール下に置きます。被害者にとってDV加害者は、単に「自分に恐いことをする人」というだけでなく、

その人にすがらないと生きていけないようにされているので、DV加害者に依存していくようになり、

自尊心や自立心・気力を奪われ、DV環境から簡単に抜け出せず、泥沼の中で苦しみます。

本の中で描写されているより、もっと複雑で深い心理的な葛藤や苦しみが被害者にはあります。

だのに、その点があんまりリアルに書かれていない。

小池氏は某女性週刊誌のインタビューで、「自分で考えて生きる主人公にしたかった」と語っていましたが、

この主人公は、そのような人物像として描かれていたかな?疑問に思いました。

どちらかというとこの主人公は、問題や苦しさを自分の力で「考えて」向き合って生きていくというよりは、淡々と「流れるように」生きていくタイプだと思います。

加えて、せっかく、主人公をお手伝いさんとして雇う高齢で独身の女画家という、人生のペーソスを感じさせられるような

面白い脇役を配しているのに、ストーリーに効果的に生かし切れていなくて勿体ないです。このお婆さんの存在が、

主人公の人生にとってどんな意味があったのか、もっと書き込んでほしかった。

他にも、タイトルにも使用されている「無花果の庭」や、老画家と詩人との秘められた恋などの、

ストーリーの中の小道具が活きていない。

主人公の母と姉との関係が殆ど触れられていない点(どうして主人公は夫のDVの被害下にあるのに、自分の肉親に助けを求められないのか。

そこをもっと書き込めば、主人公の孤独がより明確に浮き彫りになったはず)など、もう一歩踏み込めばもっとリアルに主人公像に

肉薄できたのに、全体的に書き込まれていない「余白」の部分が多すぎて、残念です。

筆力がある作家さんなので、読者を最後まで「読ませる」ことは出来るし、それなりに面白く読めるとは思います。

ただ、実際に現実の世界でDVを受けている被害者や、辛い思いをしている女性が

本から真剣に何かを掴もうとして読むと、本書の内容の踏み込みの足りなさとリアル感の欠如に、すごく物足りなく感じると思います。
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By トップ1000レビュアー
小池真理子の恋愛小説は、本人も言っているように、
直木賞受賞作「恋」が最高作品であろう。しかし、
近年の円熟を帯びた文体は、丁寧に情景を描写する
ことで、穏やかに、そして、温かに時間が過ぎる作
品として完成されてきているように思える。

今回のこの作品も、DVがテーマなのかもしれないが、
小池真理子は、どんな状況であろうとも、男女の恋
が成立する物語を描き続けている作家である。主題
は、あくまで恋愛小説なのである。

ますます円熟みを増す小池小説の世界に魅了される。
小説を楽しめる、おススメの一冊である。
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By dream4ever VINE™ メンバー
読み出して、あれ? 小池真理子?という感じでした。そしてその理由は読み終わった時にわかりました。(最終ページを見て)
それは、この小説が日経の夕刊連載だったからだろうと。

日経の読者の多くは男性でしょう。そしてサラリーパーソン。
あえて小池さんが男性向けに書いた小説なのかもしれませんね。

でも、やはり小池さんの言葉遣いは上手だと思います。
そして男に対する厳しい目と優しい目がある。

2009年の「ふたりの季節」の様な自叙伝的ラブストーリーも良いし、本作品のような対照的な二人の男を登場させて物語が進む日陰的な作品も良いです。

小池さんの観察眼というのか、社会を見る目が凄くリアルです。
おそらく世の中には沢山いるのであろう最低な男、ただし社会的には認知され評価されていたりする男。
主人公の女性(泉)が言葉の暴力と身体的暴力にさいなまれれた時の描写。

「あなたは一種の人格破綻者であり、妻に向かってサディスティックな振る舞いをしなければ、生きていけないほどの幼稚な人なのだ」

「妻を完全に支配しなければ気がすまないのは、自分に自身がないからなのだ」

「あなたは確かに天才と呼ばれている(映画監督として)かもしれないけど、裏の実態はこれなのであり、このことを知るのは私しかいない、私はいつでも、あなたから受けた謂われない暴力を世間に公表できる」ということも半ば身を震わせ、絶叫するようにして言った。

嗚咽し、あやまる必要もないのにあやまり続け、部屋の片隅でまるくなりながら嵐が過ぎ去るのをまっているだけだったのが、、、

世の男性は多かれ少なかれ、身につまされるのであろう。
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