高齢者の孤独死の実態の報道を契機に、無縁社会という概念が急速な広がりをみせています。本書は、そうした中で、無縁社会の実態を様々な角度から分析したものです。
著者の主張の軸は、その標題にもあるとおり、「無縁社会を招いたのは血縁・地縁・社縁の崩壊である」というものです。単身世帯の増加により血縁(家族)と地縁(コミュニティ)が崩壊し、会社の右肩上がりの成長が終わったことにより社縁(手厚い企業福祉等)が崩壊したとします。しかしながら、著者は、これらの縁を復活させることが得策だとは考えません。というのも、これらの「縁」の崩壊の背景には、少子高齢化や近代的合理主義・個人主義の浸透といった社会構造の変化があるからです。著者は、こうした流れを止めようとすることは現実的ではなく、むしろ個人を単位とした社会福祉制度を構築することによって無縁な人々に対するセーフティネットを充実させていくことが重要と結論づけます。
本書では、世帯構造の変遷や高齢者の所得・資産分布の実態などを精緻にデータで確認しながら議論を進めていくので、「無縁社会」というおぼろげな概念を具体的かつリアルに理解することができます。価格もハードカバーながら1300円と安く、非常に費用対効果が高い本と言えると思います。