A4版のムックであり、
無線LANセキュリティの教科書シリーズの3冊目(2011年版)にあたる。
本書は発行時点で数少ない・ともすると唯一の「BackTrack4」入門書といえる。BackTrack4は、DVDやUSBから直接起動できるハッカー向けのLinuxディストリビューションである。本書には、そのDVD(BackTrack4 R1)が付属しており、BOOTですぐに使うことができる。
このシリーズ(ムック)は前号まで「難解」との評価が散見されていたが、今回は「中学生でも理解できるよう配慮した」というだけあって、グンと易しく初心者向けになった。徹底した「シナリオ」に基づく記述となっていて、操作の目的・指針が明確である。
元来この種の記事は情報をまとめただけに終始する例が多いものだが、本書においてはライターを数名まで絞り込んで文章責任を集約させ、フローを完全に検証してから記事にしている点が特徴的である。
クセの強いBackTrack4でありながら、動作する・しないの情報が率直に書かれており、私は自身の専門外や担当外のところで詰まったときに大いに参考になった。
BackTrack4入門書としては佳作の域に入るだろうと思う。
一方で、ボリュームとしては同様かそれ以上の内容が「
ハッカージャパン2010年9月号・特集・無線LANハッキングの達人」に掲載されていたのは引っかかる。ただしこちらは、BackTrack4のDVDは付かない。難易度も若干高い。すでにBackTrackのインストールとWEPクラックができている程度の技量があるのなら、ハッカージャパン本誌のほうがいいかもしれない。
しかしWEPの解読の初心者でその入門書を探しているのなら、BackTrack4本体と詳細解説(USBのインストール方法まで記載されている)のある当ムックのほうが安全であり、おすすめである。
同じ出版社から、ほぼ同時期に同じテーマで2冊を出して読者を悩ませている点で、星ひとつ引いて★★★★とした。