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著者はさらに,単なる文明批評を超えて,無痛文明への対策を明確に打ち出そうとしている。本書の価値は,それによって大いに高められている。著者は,「身体の欲望」から生じる欺瞞を認識して,「身体の欲望」を「転轍」することによって,「生命のよろこび」に適うものにするなどの活動を勧めている。しかし著者の主張する無痛文明への対抗策の議論には,強気と弱気が交錯しており,幾つかの不整合がある。また,対抗策が学問的,哲学的な姿勢であるのか,実際の行動であるのかを明らかにしていない。しかし,無痛文明への対応は,あまりにも大きい問題である。著者の対抗策の議論が未成熟であることは責められない。
本書に触れることによって,この文明に潜む矛盾や欺瞞に一人でも多くの人々(もちろん私自身も含めて)が真剣に取り組むようになることを望む。
大部だが、一気に読み切れる内容だ。冗長という感もあるが、雑誌への連載に加筆したという性質ゆえのもので、大部を理由に読者を選んでいるとしたらそれは残念なことだ。著者自らの経験談も登場し、これをナルシシズムと取るか著者の誠実さと取るかは人により評価が分かれるかもしれない。わたくしは後者と取りたい。
さまざま評価が分かれるのは、特に具体的な行動を要求されていることを考えれば(反対することが許されないとしたらそれはファシズムだろう)やむを得ないと思われるが、それにしても無視するにはあまりに惜しい内容を含んでいる。是非一読を勧めたい(著者は「一読を勧めるだけではだめだ」と言っているのだが・・・)。
「身体の欲望」
1.快を求め苦痛を避ける... 続きを読む
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