ベネチア映画祭でグランプリ獲得、三船敏郎と高峰秀子の共演です。
テーマとしては「美学としてのストイシズム」ということになるのでしょうか。
乱暴者でありながら、許されぬ相手を一途に慕い続ける男の純情。
戦前に作られた阪東妻三郎、園井恵子主演のリメイクであり、一般的にはそちらの方が評価は高いようですが、やはり三船は良い!
特に印象的なのが太鼓を叩くシーンですね。
戦前版は、私の記憶に間違いがなければ阪妻は「叩いているフリ」をしてますが、三船は本気で叩いてます。
三船の魅力が爆発するシーンであり、何度見ても涙が出ます。
前作で検閲でカットされた部分を収録し、カラー化、そして邦画史上最大のスターと言ってもいい二人の組み合わせ。素晴らしい。
しかしそれにしても日本の映画会社、特に東宝は何故、沢山の名作を抱えていながらビデオやDVDをなかなか出さないのか。
そこにどんな事情、困難があるかは分かりませんが、たとえば成瀬巳喜男(「浮雲」など多数)の数々の名作もずっと埋もれたままです。
これは日本の誇るべき文化としての映画に対する冒涜だと考えます。
個人的には、鴎外や漱石の本が書店にないのと等しい状況だと思います。
確かに「売れない」から「売らない」ののかも知れません。
しかし私に言わせれば、価格が高くてプロモーションもろくにしないのだから、売れないのは当たり前です。
若い世代は、往年の邦画の凄さ、素晴らしさを知りません。
愚にもつかない作品が溢れている一方で、とても悔しいことですね。
そんな中で、何はともあれこの「無法松の一生」がDVD化されるということには、多大な意義があると考えます。
とにかく、素晴らしい映画ですよ。
まだ観たことのない人は是非観てくださいね。