”ガルシア=マルケスの再来との呼び声が高い” らしいけれど、それはちょっと違うかな?でもリズミカルで無駄がなく、ドタバタものながらラテンアメリカらしからぬ(?)洗練された文章。
コロンビアはボコタの教会。ここでは曜日ごとに地区の人々に「慈悲の昼食」を施している。月曜日は娼婦の日、火曜日は不良の日、水曜日は盲人の日、木曜日は老人の日、金曜日は母子の日と定め、教会が無料で昼食をふるまう。話しは、木曜日「老人の日」の「慈悲の昼食」時からの24時間を描く。登場人物は教会の面々だが、神に身を捧げる純な聖職者はひとりもいない。献金横領している神父、怪物みたいな賄い人の3人の老婆に、性欲剥き出しの聖具室つきの女サビーナ、彼女のターゲットが主人公のせむし男、タルクンド。そのタルクンドは「慈悲の昼食」の給仕係りで、特に「老人の日」の老人たちの節操のない無茶苦茶ぶりにうんざりし、それでも皆が表面的には神に仕える「良き人」を演じている。が、ここに突然、とんでも神父、大酒飲みで、歌いながら説教をするマタモーロス神父が登場し、皆が本性をむき出しにして大騒ぎが始まる。
さらりとしか書かれていないけれど、聖職者のお面をかぶった偽善者神父を通して、コロンビアの内戦に傷ついた貧しい人たちと、教会への批判がわかる。大酒飲みのとんでも神父マタモーロスは、一見俗物のような神父だけれど、実はまともな人間である彼の登場をきっかけに (でも彼は歌って踊って飲んでいるだけ)、嘘だらけの偽善が剥ぎ取られる。金と性欲と酒。実は重たいコロンビアの情勢とそこに生きる弱者を描きながら、最終局面での破綻ぶりをどこか明るく描くのは、さすがのラテンアメリカで、「老人の日」にタダ飯にありつこうと教会にやってくる老人たちが、貪欲なまでにサービスと食べ物を求め、死んだふりをしてまで料理をほおばり続ける姿は、マジックリアリズムを感じさせるけど、作者は1958年生まれの「ポスト・ラテンアメリカブーム」の世代で、旧世代と比較するとスマート感がある。
なかなか面白かったので、もう1冊邦訳されていた 「顔のない軍隊」も読んだ。こちらもお薦め。