仏教本来の「無常」とは「この世の全てのものは一時も休まず変化する」ということだ。
日本的な、「切ない」「もの悲しい」などの感情は「無常」のごく一部を見た感想にすぎない。
それどころか「無常」は「聖なる真理」であり、それを本当にわかったら「悟り」の境地に入る。
私達は科学の時代に生きており、「この世の全てのものは一時も休まず変化する」ということは
容易に受け入れることができる。しかし私達は解脱していない。「無常」を骨身にしみるほど
にはちゃんと理解していないからだ。私達は人間は皆死ぬことは知っているが、死を前提に
した生き方をしている人は希なのである。「無常」という真理を本当に理解し、解脱に近づく
ためには徹底的な「観察」(主に自分自身を対象とした)が必要で、それが修業である...
以上が本書の主な内容である。
仏教の神髄は「無常」を知ることだということを、例を挙げて繰り返し繰り返しこれでもか!
という程丁寧に説いており、非常に分かりやすい。
個人的に目から鱗だったのは「変化しない絶対的な存在は、(その性質上)情報を発しない
ので、存在しないのと同じである。」という所であった。物理学の世界では当たり前になって
いるが、何千年も前に「観察」のみによって発見するとは!
しかし理解しにくい部分もある。
例えば、無常を知ると心の汚れがなくなり、悪いことができなくなると書いてあるが、それが
なぜなのか説明はない。等...
全体としてすばらしい、良書だと思う。