この著者が業界の風雲児であることは、知っていた。いろんな住宅建築情報があるなかでどういう「展開」をしていくのか気になっていた。
日本の建築業界自体が迷走し、問題をかかえているという指摘が、はげしい筆致でつづられている。こういう言い方に反発する人も多そうだが、得心がいくことのほうが多かった。家がメカを有するどこかヘンテコなものへと化していくのは、やっぱり普通におかしいとの感覚が自分にもあるので。
他と読み比べてみると、勢いがあって独自性が浮かび上がってくる。普通、壁の中身や断熱材など業者にまかせっきりで、せいぜいが壁紙をエコなんとかと名前のあるものにする程度だろう。その点では著者の家が自然住宅に徹底されているのは自らサンプルケースになっていて説得力がある。自らドンキホーテ的に突き進んでいるのであろうがその勇ましさが痛快である。船瀬氏との対談文も教えられる新しいことが多かった。
たとえば知人の建築士に聞いてみたが、セルローズファイバーのことなど実際に知らないのが実情であって、やはり著者が言うように大事な情報は業界の外はおろか内部にも通じていないのだろう。
ちなみにわが家は三年ほど前に家を建ててしまっている。木の家だが、著者が批判している工法・建材であるはずだ。だが音は筒抜けで響くし乾燥ははげしいが、朝も夜もかなり温かさはある。結露は心配になるものの今のところだが大きなトラブルはない。ただ、事後にこういう本を読んでしまうと、少なからず、本質的に後悔するのは確かである。
家を、身体性の延長の環境問題だと考えられる人は、一読して損はないだろう。一つの強烈な座標軸は提供してくれる。