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無冠の父
 
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無冠の父 [単行本]

阿久 悠
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商品の説明

内容紹介

「私の父の深沢武吉は、生涯巡査であった」。戦中から昭和30年頃までの淡路島。小さな駐在所に身を寄せ合う、ある一家のささやかな幸福と戦争の傷痕。――自身の父親と家族をモデルに著者が遺した珠玉の物語は、父親とは何か、時代の激変のなかの家族のつながり、人間としての矜持、生きることの諦観と希望とは何かを問いかけてやまない。

内容(「BOOK」データベースより)

「私の父の深沢武吉は、生涯巡査であった」。戦中から昭和三〇年頃までの淡路島。小さな駐在所に暮らす、ある一家の悲喜こもごも。―自身の父親と家族をモデルに阿久悠が遺した珠玉の物語は、父親とは何か、時代の激変のなかの家族のつながり、人間としての矜持、生きることの諦観と希望とは何かを問いかけてやまない。

登録情報

  • 単行本: 280ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2011/10/14)
  • ISBN-10: 4000022261
  • ISBN-13: 978-4000022262
  • 発売日: 2011/10/14
  • 商品の寸法: 19.5 x 14 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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阿久悠は2007年に亡くなったが、2011年に自宅で未刊行の原稿が見つかった。1993年に書かれたものだが、編集者に改稿を求められ、返却させたもの。それが本書である。

淡路島で駐在所勤務の一巡査であった父をモデルにしたものだが、明治生まれの堅物の男がいかにして終戦を迎えたかが物語のピークである。8月15日夜、まわりが腹を切るのではないかと心配するなか、父はとつぜん俳句をつくろうと言い出す。「松虫の 腹切れと鳴く声にくし」「この子らの案内(あない)頼むぞ 夏蛍」、これが父の句である。

翌年、サーベルが警棒になる。サーベルは精神の拠り所のようなものだが、警棒は武器であり、撲る道具である、と父は憮然とする。「これで、撲れちゆうんか」。

登場人物は個性あふれ、挿話に事欠かない。とりわけ元同僚の鶴田、九州の叔父、隣家の主婦、もちろん父武吉、母きく乃、兄姉妹……。

久世光彦が健在であれが、当然のごとくドラマ化しただろう。黒柳徹子のナレーションに、田中裕子、小林薫、加藤治子……。そういえば久世は「戦争に敗れ、世の中がどう変わったのかうまく納得できないまま亡くなった父」を書くために実父の資料を集めていたという(久世朋子『テコちゃんの時間──久世光彦との日々』)。

武骨で不器用な父を思いだしながら、この埋もれていた傑作を読んだ。
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