「黒い愛情」以来、秀さんには注目していたのですが、これはちょっと微妙な作品でした。
しかし本格的な暑さの今の時期、読むと南国の海に行きたくなるには違い有りません。
沖縄本島から離れ、今では無人島になってしまった神喜島。
子供の頃、父に連れられて一週間を過ごした主人公・
大里斎は自分の会社がむやみに自然を無視し
そこにリゾート開発するというプロジェクトに反対する為に、視察グループの一人として18年振りに訪れる。
待っていたのは厳しい自然と変わらない美しい海、そしてかつて一緒に遊んだ同い年の少年、高良光司との
再会だった。
最初はそっけなかった光司がやがて自分に親しくしてくれることに喜ぶ斎だったが、必要以上に接近してくる
状態に戸惑い始め、だがどこかで彼との異常な行為を求めてしまう。
「おまえは俺のつがいなんだ」
謎めいた言動をする光司、そして開発計画で反目し合っていた6人のグループ内の確執。
日々酷くなる精神的ストレスは最高度に達し、ついに一人が命を失う。
誰が殺したのかという疑惑がお互いに向けられ、不安定に崩壊していく仲間達に恐怖する斎を、光司は変わらず
肉体で慰め、やがて斎の出生と自分の宿命について語り始める…。
…とてもこう…中途半端なサスペンスというか、本当に「人生何千回と殺人現場に居合わせる某少年探偵」の
世界でした。サスペンス部分がぬるくて、BL部分もちょっとモノ足らないので、
「最後までHが行き着くのか!?」という違う恐怖にこちらはおののきましたが。笑
まず誰が最初の犠牲者になるか分かってしまうとか、どうして殺人と最初から決め付けるのか
光司の正体が実は…みたいな突っ込み所が満載で、とにかく気軽に読めます。
「リスキーな接吻」も読みましたが、秀さんはこういうどす黒い人間関係を書く方が、
良い人揃いより良いですね。
とにかく評価すべきは絵画を思わせる表紙と挿絵です。中表紙の光司は一枚の絵画のようで、
「ああ大きなサイズで見たいなぁ」と感じる程に鮮烈で美しかったです。
それから沖縄の悲劇的歴史にきちんと触れていた部分をとにかく評価したいですね。
540円というお値段ならこれで気分転換は出来るかな…という一冊。