著者は、為替市場は、モノの市場とは異なったバーチャルな市場のため、著しく流動的、相対的、主観的になりがちであると考える。経済学者ケインズの有名な「美人投票」を説明し、誰にもコントロールできない最も自由な市場であると説明している。
そして、ソロスの誤謬性(人間の知識は不完全で間違いやすく予想しても間違うということ)、やルービンの人生哲学、スティグリッツの情報の非対称性(持てる者と持たざる者の情報格差)を挙げて、為替を読むうえでの大きな考え方を導いている。
そのうえで、本書では実際に著者が大蔵省時代に経験し実行した為替介入に付随する話や具体的な情報の取り方、戦略が詳しく解説されている。ここで強調されているのは、人間には誤謬性があるため、現実の変化に合わせて自分の見方を絶えず見直し、長期の見通しを立てるべきだという考え方である。
評論家や為替ディーラーが書いた本は数多くあるが、本書では、通貨当局の人間が、国家政策レベルでの情報戦略を解説している。これまでにない為替関連書として、金融関係者はもちろん、学生やビジネスパーソンにもすすめたい。(木村昭二) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
為替と経済の関係を知りたい人へ,
By フジキセキ (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 為替がわかれば世界がわかる (文春文庫) (文庫)
私は経済学に門外漢です。でも少し経済を理解できるレベル(日経新聞を理解できる程度)だとまず経済用語を覚えて、そして為替を理解すること だと発見しました。 その点まだ経済ビギナーだった私にいろいろな経済の事を教えてくれました。 経済通の方よりもむしろ経済学をかじり始めた方のほうがより本書から 吸収できるものが多いはず。 内容としては為替の世界的実例を挙げて榊原氏がそれを解説する形式。 ここ10年来のトピックスを中心に実例を挙げていますから、 興味津々に読み耽りました。収穫の多い充実した読書体験でした。
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
読みやすいです,
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レビュー対象商品: 為替がわかれば世界がわかる (文春文庫) (文庫)
90年代後半に財務官を務め、為替介入を含め為替の安定化に貢献した榊原氏の著。基本的な為替の考え方、為替の変動要素、予測の可能性などについて、経済理論の発展の側面と、また逆に現実的な話・エピソード(ソロス・サマーズ等についての話)を用いながら、著者の視点を中心に説明を展開していく。 経済についてあまり詳しくない人でもわかるように書かれており、読みやすい。
12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
為替を通じて情報戦の基礎を学ぶ,
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レビュー対象商品: 為替がわかれば世界がわかる (文春文庫) (文庫)
・理論を知っているだけではダメだが、理論を知らないのは話にならない・本や公式に発表されているグローバルな情報と、実際に自分が会って話す中で得られるローカルな情報の2つが必要 ・そういった情報を得られるようにするための人脈作りが重要 ・情報の漏洩をいかに管理するかが、自分の行動で周りにインパクトを与えられるかの鍵 といった、現代の「情報戦」において欠かせない点を、自身の財務官としての経験から為替を通じて分かりやすく説明してあります。
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