20編の短編が収録されているが、その大半は結婚生活の愛憎劇である。疑心暗鬼で腹の底を探りあう夫婦もあれば、女房の尻に敷かれ、いいように操られて、言葉や行動で太刀打ちできなくなった夫が相手を殺してやろうと計画。しかしそこは短編の面白さ、当然のどんでん返しが用意されている。
ことに異色でかつ面白かったのが「マドモアゼル・キキ」。港町のカフェで飼われている精力絶倫のメス猫キキが主人公。ハリケーンを予知するキキを、漁師たちは大切にするが彼女には全く別の思惑があるのだった。猫好きには是非読んでいただきたい作品。
もっと異色なものはなんとノミが主人公の「ギャビン・オリアリー」。全体を通しての感想は、SFやファンタジー要素は少なくて、平凡な日常に隠れている人間の感情を扱った作品が多く、初めて読んだ作家だったが面白いと思った。