「第1章 異常を感じたくない心理」(約60ページ)、「第2章 災害を待つ心理」(約30ページ)、「第3章 パニックの心理」(約40ページ)、「災害時のストレスを超えて」(約30ページ)で構成された本です。
まえがきや目次を入れても187ページ、しかも、項目ごとの題字が半ページを使っていること、イラストや写真が大きく掲載されていること等によって、実質の分量はとても少ない本です。すぐに読み終えられます。
著者が一番言いたいことは、「一般常識に反して、災害時にはパニックは発生しにくい。むしろ、人が危険を感じる感度はにぶいため、逃げ遅れることが多い」ということだと思います。このことは、著者の著作「
人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学 (集英社新書)」でも書かれていることですが、とても重要な知識なので、強調して強調しすぎることはないと思います。
今回の東日本大震災でも、「率先避難者であれ」(誰も逃げていない段階でも、まず自分が率先して逃げよ)という教育を受けていた小学生が、多くの大人の行動を促し、津波から何人もの命を救った実例があります。
その意味で、本書はとても貴重な本といえると思います。また、災害時の意思やリーダーシップなど、いくつかの点でとても重要な点を記述しています。
ただ、本書の記述は、よく言えば「コンパクトにまとめている」ということになるのですが、反面、全体として「抽象的でコンパクトすぎて危機感がやや伝わりにくい」書き方でもあります。
著者の本を1冊だけ読むのであれば、私は「人はなぜ逃げおくれるのか」を薦めますし、さらには山村 武彦氏の「
人は皆「自分だけは死なない」と思っている -防災オンチの日本人-」の方がもっと良いと思います。