灰羽連盟は自分にとって特別な作品です。ちょうど心療内科に入院して、仮退院していたときに見たからです。
ここに登場する灰羽たちは、皆それぞれの心の傷を負っていて、灰羽の世界に突如、繭から生まれてきます。
それぞれの灰羽たちは、各々が役割を持ち自信をつけ、自分自身を認め元気になっていくと、その世界から忽然と消え去ります。
それは、おそらく現実の世界に戻っていくということを意味しているのでしょう。
心療内科病棟も、それに近いものがあり、各人の病体はさまざまです。
しかし、現実の世界とどこか折り合いがつかず、症状はさまざまでも、皆どこか心に傷を負っているという点は同じです。
あらゆる診療科を廻っても身体的な原因が見つからず、心療内科に行き着いたという人もかなりいます。
そして灰羽たちと同じように、心療内科病棟でも、その人が元気を取り戻せば、あらゆるタイミングで別れが来ます。
最初、自分は仲良くなった人たちに対して「退院おめでとう、じゃあまたね」と言って別れを告げていました。
しかし、心療内科の患者同士のやり取りは厳しく制限があるため、退院した後、もう一度会える可能性はほとんどないことに
気付き、そこからはお世話になった人に対して「ありがとう」と「さようなら」を言うことにしたのです。
それは灰羽たちが、去る間際にお世話になった人たちに何気なく言っていた言葉です。
感謝と別れを告げて、現実の世界に戻っていくその姿は、これからへの決意や勇気に満ちていました。
ただ自分は今、仮退院なので、またしばらくしたら同じ病棟に戻るというところがあって、
その場合、もしかしたら前に仲良くなった人たちに再会できる可能性があるわけで、その点は
灰羽連盟よりも、心療内科病棟のほうが、優しい部分があります。
そうは言うものの、もう相手の方が退院し、いなくなっている可能性もあるわけです。
つまりは、自分がまずは日常生活を普通に送れるくらい元気になって、
もし戻ったときその人がいなくても、心が沈まずに前を向けるようになっている事こそ肝心な点であり、
その状態をもって再会できたときこそ、本当に素晴らしい再会になると思うのです。