「非合法員」から読んできた。
日本冒険小説の大家は、海外から日本へ、しかしその主題は一貫している。
陽の目を見ることのない少数民族、あるいは虐げられてきた人々が叫ぶ怨恨、意志、失墜、不安、そして、時代時代の現社会体制が内包する絶対矛盾。
それが、満州。というよりも、南京事件を真っ向勝負で描こうというのだ。
興味深いではないか。
主人公の敷島4兄弟のポジション取りが良い。
これまで、虐げられた人々のネガティヴな暗い情熱だけで進んでいくはずの物語が、様々な角度から描かれていく。
初めて、満州をまっすぐに捉えた(であろう)作品であることには違いない。
船戸の進化はどこで折り合いをつけようというのか?
きっと、作者ですら分かるまい。
取ってつけた落ちなんか要らない。
時代を撃ってほしい。
「山猫の夏」での、奇跡のように。