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灯台へ (岩波文庫)
 
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灯台へ (岩波文庫) [文庫]

ヴァージニア ウルフ , Virginia Woolf , 御輿 哲也
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

スコットランドの孤島の別荘。哲学者ラムジー氏の妻と末息子は、闇夜に神秘的に明滅する灯台への旅を夢に描き、若い女性画家はそんな母子の姿をキャンバスに捉えようとするのだが―第一次大戦を背景に、微妙な意識の交錯と澄明なリリシズムを湛えた文体によって繊細に織り上げられた、去りゆく時代への清冽なレクイエム。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ウルフ,ヴァージニア
1882年1月25日、ロンドンのケンジントン区ハイド・パーク・ゲイト22番地で誕生。1915年『船出』出版。1925年傑作長篇『ダロウェイ夫人』出版。1941年3月28日自殺(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 413ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2004/12/16)
  • ISBN-10: 4003229118
  • ISBN-13: 978-4003229118
  • 発売日: 2004/12/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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58 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 すばらしい構図、質感の名画である。

 第一部は、今日なら絶滅危惧種に指定されるべき「自己犠牲」と「与え続け」る人=ラムジー夫人が、それぞれ滑稽なほど癖の強い大家族と客人たちを、ひとつの共同体にまとめ上げる様が、拡大鏡を覗くように描かれる。第二部では、第一部ののどかな一日とは対照的に、10年の歳月が荒々しく矢のように過ぎ、第三部では、10年前、即ち、第一部で描かれた一日の翌日に計画されていた灯台行きの遠足が決行される。その様子を亡き夫人に代わって、こちらも10年越しの絵の完成を期す客人リリーが見ている。
 
 著者は、8人の子の母で良き妻でもある夫人を意識的に評価し、同時に、結婚を選ばず、初志を貫くリリーを肯定する。その他の登場人物もかなり個性的なのに、不思議な程身近な人に似て見える。”実験的”とされつつも、するりと小説世界に入り込める所以だろう。大河に押し流される感覚ではなく、雪解け水の小川を裸足で渡る感覚の小説である。

 この多分に女性的な空間を男性が翻訳することに、大きな関心を持って読んだ。御輿訳の登場人物は現代的で庶民的である。また、同氏訳は骨太で、複雑かつあいまいな感情を、平明で具体的な言葉にすることに長けている。一方、ラムジー(ラムゼイ)夫人の魅力とジェイムズやリリーの感受性の強さが際立ち、所謂”意識の流れ”にかかわる文章のリズム感に秀でるのは、先行の伊吹訳だろう。両訳読み比べてみることをおすすめしたい。

このレビューは参考になりましたか?
31 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「トゥ・ザ・ライトハウス」の日本語版はいくつかありますが、これが一番いいのでは。
そして原著をお読みください。今出版されているヴァージョンの水準がいかに優れているかがわかるでしょうから(決して日本語版「ミセス・ダロウェイ」なんか読まないこと)。
我々は未だにウルフを過小評価している。ウソでないのは、優れた翻訳であるならばどんな言語でもこの「灯台へ」は輝いているから。ありとあらゆる国で崇拝されているのは当然のこと。「ノヴェル」というものに縛られたくないウルフのある種のあがきが結果として英国最高峰の小説を生んで、いや英語圏においても10指に数えられるほどすごいものを生んでしまったから。
RAMSY夫人の母親としての暖かさ、優しさといったものにはどなたにでも伝わるはず。この手のストーリーは下手すると「優しさ」がただの独善エゴイズムと化けてしまうが、ご安心を。これは違います。
「無数のシェル(弾丸)を浴びながら」「誰か過てる者あり」とか、引用詩がジャマに感じないのもさすが。しかも(繰り返しだが)翻訳がすごいのだから感激。ワーズワース版、ペンギン版共に薄い原著なのですが、この核爆弾が2009年になっても読み継がれているのは当然。それは「ウルフの『母親』像が平凡」なのではなく「どんな男に暴行されても『私の子は私の子』、これこそが女性の強さ」という(これはオリジナルじゃないです。河出版アジェンデ『精霊たちの家』の池澤サンの引用文です)、HUMANの持つ(これは性別を問わない)力強さ(この小説には似つかわしくない表現なのは千も承知)が、どうやら今でも生きているからでしょうね。19世紀イギリスでも、あるいは現代日本、チリ(アジェンデの故郷)でも通用すること。
それにしても、どうしてこの種の優れた小説から「お堅い」イメージが抜けないのでしょうか。先ほど書きましたが、どんな言語で読まれても素晴らしい小説です(少なくともこれは)。無論課題図書にしろと訴えたいわけじゃないですが、現代の日本小説群に我慢ならない私にとってはなんかイラついてしまうのです。
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