本書は、空襲で家族を失った恨みから、
B29に搭乗していたアメリカ人捕虜を
自ら志願して斬殺したという罪で絞首刑の判決を受けた元下士官、貞村を中心に、
巣鴨刑務所内でのBC級戦犯たちの過酷な運命を描いた群像ドラマ。
貞村の他にも、でたらめな証言の為に戦犯にさせられてしまった者や、
上官の絶対命令で止むを得ず捕虜を殺してしまった者など
戦犯になってしまった理由は様々だが、
本書を読んで思った事は、戦争に行った者なら誰でも戦犯に成り得たであろうという事。
やがてGHQが去り、日本政府によって刑務所が管理されるようになると、
戦犯たちにはかなりの自由が与えられるようになり、
昼間は会社へ出勤したり、外へ遊びに出たりできるようになる。
しかし何年経っても釈放が決まらず、戦犯達は悶々とした日々を送る。
戦犯として逮捕された時は世間から冷たい目で見られたり罵倒されたりしたのに、
GHQが去ってからはいつの間にか国民的英雄に祭りあげられたりして、
戦争が終わってからも時代に翻弄され続ける戦犯たちの苦悩が見事に描かれている。