NASAの現役研究者の手による本書は、夢物語ではなく実にリアリティのある火星小説(そんなものがあれば、だが)となっている。2000年に書かれたものだけにISSの描写など、現実とズレが生じている部分もあるが、実際の火星探査計画に沿った数々のガジェットにワクワクさせられる。
ブラジルに先を越されたり、ある細菌によって計画が失敗したり、火星についてからも予想を超えるトラブルが発生するなど、現実に起こりそうだと思わせる。また、短い章を連ねていく手法はサクサクと読み進めることができた。
火星探査の手法や火星の情景だけでなく、それぞれの登場人物の背景も細かく描かれており、単独でも一冊の本ができそうなアイディアが詰まっている。