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脳を病んだ人々の症例紹介(彼らへの善意と愛のある)という形式は博士の他の著作とも共通しています。しかし他の書はややもすると著者の意図とは離れ、そのような患者への興味本位や憐憫をもって世間で読まれた面があったと思われますが、本書ではそのような障害を持つ彼らを通して人間の存在価値までも考えさせられる内容になっています。
特に表題の“火星の人類学者”と自称する自閉症の女性学者の話は、本当に心に響く内容で、人生に大切な事を考えさせられました。愛情や感情がほとんど欠落しているという彼女は、しかし知性が非常に高く自分をコンピュータに近いと自覚しています。そんな彼女が最後に博士に話す心の叫びは、私たち全ての人間にも共通した問題です。私は読んで泣きました。
サックス博士の本に興味があるタイプの方なら、絶対に読んで損のない一冊です。
人間は、失ったもの以上のものを得ようとするポテンシャルを持っている。オリバー・サックスのあたたかいまなざしで描かれたこの本は、人間がもつ驚くべき奇跡をわれわれに示してくれる。
「健常」とは何か。生きる上での人間の人生の価値とは何か。考えさせられます。
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