戦前・戦中を生き残り、戦後は無頼派として家族を持ち、新劇女優入江杏子を愛人とし、世界各地を放浪し、自ら素材を求めて貪欲に食を求め、最後は九州の孤島で死を迎えた作家の遺作である。
ある書棚に檀ふみのエッセーと、檀一雄の何冊かの著作が一緒にならべられていた。手にとってみて、自分の人生を私小説として残した父親と、いま・ここでの生活を軽やかに書く才気に溢れた娘の対照的な姿が印象に残った。
長らく、檀は周囲に許された幸せな人だと思っていた。だが、後に沢木耕太郎の『檀』を読んで印象が変わった。私小説をめぐる当事者の複雑な想いを垣間見たからだと思う。入江さんも檀との5年間の日々を書き残している。この作品を起点に、いくつかの人生が交錯している。
PS.やっぱり檀一雄はカッコいいっす。