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そしてこの本、巨石運びと丸太運びのシーンが最高。
巨石は織田信長の要求で、また巨大丸太は城を支えるためにそれぞれ必要なんだけど、モノを運ぶだけでここまで壮絶なシーンが描けるのかというくらいの迫力。
巨石を運ぶシーンは運び手一人一人の執念が伝わってくるよう。ピラミッドの建築を連想した人は僕だけじゃないはず。
丸太は一本ずつ川を流して運ぶんだけど、その担当者である甚兵衛が凄くいい。忍者や宣教師といった個性的な人物たちの中で、決して目立った存在ではないんだけど、この人が主人公に託した手紙が泣かせるんだ…。「実直」とか「不器用」って言葉がぴったりの名脇役。
さし絵はないので、ところどころ城の形や木組みの形状が浮かびづらかったりもしたけど、じっくり情景を想像しながら読める方にはこれもたまらないのかも。
僕的には、さし絵とか地図とかほしかったかな?
関わるのは施工主の武将にはじまり石工・木挽・陶工・人足、賄いに至るまで。ネタの裾野が広いだけではなく、スケールがでかい。巨石・巨木・大組織とスケールの大きい素材を好きなだけ盛り込める。
主人公の岡部親子の葛藤を物語のもう一つの柱にしながら、凝縮された素材が一気に描き上げられるのだが、築城に挑む岡部親子の姿は、歴史という巨大な機械を、様々な角度から、様々の情報で、重層的に描く事に挑んでいる作者の姿と重なって見えてくる。
とりわけ、全編にびっしり盛り込まれた情報の量がこの小説の醍醐味といえる。さりげなく専門用語を用いるなど、細部に至るまで工法やら挿話やらうんちくが贅沢に続く。力技でありながらさらっと盛りつけられており嫌味がない。背景にある膨大な情報のほんの一部ずつ必要量だけを自然に使っているのだろう。
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