原作は野坂昭如。
野坂の作品は、アニメでしか描けない微妙世界。
母が死に、海軍軍人の父も行方しれず。西宮の親戚にあずけられた少年と少女はどう扱われるのか。
邪魔者としてあつかわれるに決まっている。
少年は妹を護ることができるのだろうか。
きっとできない。
空襲。焼け野原。蛍の群れ。栄養不良。
主人公清太の役割は重すぎる。
世界状況がわかるわけがない。かれは職業軍人の息子であり、母をみとり、妹を護らないといけないのだ。
敗戦も妹の死後知った。信じていた日本帝国海軍も壊滅していた。だれも彼に教えてくれなかった。
妹尾河童の「少年H」と比較してしまう。「少年H」の父親は紳士服の仕立屋で世界中の情報を知っていた。そして、子ども2人を護りきった。おませな「少年H」と、「火垂るの墓」の14歳の軍人の息子清太の違い。民
間の生活者と職業軍人の息子の違いである。知識量と戦争への判断力が全く違う。レベルが違う。
「火垂るの墓」ではこの海軍さんの一家は全員死んでしまった。
つらすぎる話しだ。
1988年、映画館では戦争で人生がひっくりかえった体験者はひそかに観ていた。そして、声を殺して涙を流しつづけていた。
無謀な戦争に追い込まれたのか、それに突進していたのか判断はそれぞれ違うであろうが、肉親の死は体験している。
そういう大人達が映画館で泣いてしまったのだ。
制作者に敬意を表する。