この巻に収められている「異形編」「生命編」はシリーズの中では短めのエピソードになりますが、非常に密度が高く、インパクトのある二編です。手塚先生は、短いので描ききれないことが多かったとおっしゃってますが、読みごたえは十分です。
「異形編」は応仁の乱後、戦国時代初期の琵琶湖畔を舞台にした物語。八百比丘尼伝説に題を取り、人を殺めた罰として、虐げられた人間や異形に癒しを与え続ける女性の姿が描かれます。閉鎖された空間と時間の中で繰り返される物語はまさに永劫回帰。償いと罪が一体化し、めまいのするような印象深い話でした。
一方の「生命編」は未来社会を舞台とし、商業主義が人間の尊厳を侵食する物語。視聴率獲得のために、「あるもの」を殺害する番組を企画するプロデューサーと、その顛末が描かれますが、初めて読んだときは、手塚先生のアイデアに愕然とさせられました。単なる空想物語として片付けられない怖さがあると思います。
短いながら、骨太の二作です。