『火の鳥』は、手塚治虫先生の作品群の中でも特筆ものの大作であることは間違いないでしょう。
デビュー間もなく、雑誌「漫画少年」への掲載が初出となっています。
『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』と同時期にスタートしています。
「漫画少年」が廃刊となってしまいましたが、10年後、手塚先生は自ら雑誌「COM」を立ち上げ『火の鳥』を看板作品として続編を発表していきました。
雑誌COMは、白土三平氏の『カムイ伝』を掲載した雑誌「ガロ」を意識した大学生を中心に読まれた青年漫画誌の先駆けでした。
COMを発表の場としてえたことで、『火の鳥』は商業雑誌による人気投票などの制約を離れて、手塚氏の自由で壮大な創作を可能にしたと思っています。
『火の鳥』は、手塚先生自らがテーマと語っている、生命について様々な角度からアプローチを試みています。
第1巻である「黎明編」では、舞台を邪馬台国の時代の日本におき、古事記などの日本の神話をベースに物語が進行します。
ラストシーンが実に印象的です。女の武器、をこれほど強烈に表現した作品はかつてなかったでしょう。これだけでも歴史的傑作に値すると思われます。
もしかすると『カムイ伝』を意識したからこそ、表現され得たシーンではないかと想像しています。
親から子へ伝えられる生の伝承が、輪廻転生という言葉に重なってみえてきます。
『火の鳥』は、何度も読み返す作品になるでしょう。
さらに、読み進むにつれ、生命という巨大なテーマの輪郭が読み手に見えてきます。
『火の鳥』は、未完で終わりました。が、多分、この物語は永久に続くのではないかと思います。
それは、生命の物語ですから。