7歳のチムと靴修理人のお父さんとの4週間の徒歩旅行。4週間で宿に泊まったのは、1回のみ。初日と最終日以外は、徒歩という貧乏旅行だけど、お父さんは少しも貧乏を嫌がっておらず、貧乏生活を心から楽しんでいます。
チビでデブであることを嫌がるチムに、お父さんは黒いヒツジの話をします。黒いヒツジが自分の姿を嫌がって、神様に他のヒツジと同じように白くしてくださいと頼みに行ったところ、門番は「神様、あなたは全てのものをなんと素晴らしくお造りになったことでしょう。これは、本当にかわいい黒いヒツジではありませんか。あなたは、このヒツジが特別お好きなんでしょうね」と言い、神様は「そうだよ」とおっしゃった。ヒツジはとても幸せな気持ちになり、黒い自分が平気になった。金子みすずの「みんなちがって、みんないい」を思わせる話です。
また「車があったらなあ」「空が飛べたらなあ」と言うチムに、お父さんは、願いが何でもかなったら、却って不幸という話をします。お父さんの話は少し説教臭いところもあるけど、説得力があって納得させられます。最後、家に戻ったチムは、今の自分が一番幸せと気付いて、もう「何も願い事をしない」と両親に告げます。貧しいけれど、とても心豊かな家族のお話です。