まず、この本の良い点を挙げておきます。
・取り上げてある問題数が18題(うち1題はその他の問題の3倍の分量のテスト形式)、出典も、九大・神大・名大・東北大・北大、とバリエーション豊かで、しかも問題の設問自体も和訳問題、説明問題、内容一致選択問題とバランスよく配されている問題が選ばれており、偏りのない演習が可能。特に直前期の総合演習には効果的だろう。
・巻頭に大体5Pくらいを割いて「リーディングのストラテジー」と題した、いわゆる長文読解問題への一般的なアプローチや、日々の勉強法について述べられていて、塾等に通ってなくてそういう情報を得る機会の少ない生徒にはとても参考になった。
・問題後の解説前にある本文の、設問上の下線・傍線部や空欄をすべて取り払った、いわゆる白文が再掲載されていて問題解答後の再読、読み込みにはとても役立った。
・デザイン、紙質と本の大きさが手ごろでとてもよい。
・問題と問題の間にある先輩の体験談や木村先生のコラムは勉強の合間の刺激になりとても面白かった。
次に、見直しがほしい点について。
・設問の解説については、あまり理論的でなく、少々分かりにくい「文脈から・・・」などのものが多々見受けられ、また解説量自体も少なく、文構造の分析による判断があまり無い、これも良心的とはいえないものになってしまっていた。また、問題解説の最後に、重要構文が含まれる文を抜粋して解説してあるが、これまた単なる知識の羅列に過ぎないものになってしまっていた。どうせなら、紙面を割いてでも、富田先生の著書にあるような矢印と図による論理的、視覚的な解説がほしかった。
・解答については、模範解答が1つだけしかなく自分の答案との見比べがややしにくい。もう少しいろいろな解答例を掲載して、独学や、進学校、塾に通っていなくて先生へ質問できないという生徒にも配慮してほしかった。
・上記の2つをまとめると、本書の解答、解説はとくにこれといった特徴が見受けられない、いたってノーマルなものか、問題によってはそれ以下のレベルである。
以上もろもろのことを加味した上で評価は“3”である。
旧帝大クラス、または有名大以外の医学部志望者で、直前期の、しかも英語はほぼ完成していてくどくどしい解説は必要なく、良い問題を解き進めたい、という生徒に適当ではないかと思う。
※これは余談だが、このキムタツ先生のカリスマ性のせいなのだろうか、著者の本に対して少々狂信的、妄信的ともいえるような、いわゆる“信者”がいらっしゃるようなので、評価には十分に気をつけていただきたい。
購入や参考書選びの参考にしてほしい。