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瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫)
 
 

瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫) [文庫]

保阪 正康
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫) + 沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫
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瀬島は、太平洋戦争時には大本営作戦参謀、高度経済成長期には商社の企業参謀、そして中曽根政権下の行政改革では臨調・行革審の政治参謀として活躍した昭和史そのものの参謀ともいえる人物である。本書は、その参謀を身近に見てきた多くの人間にインタビューすることにより、もう一つの昭和史を描き出そうとしたものである。

瀬島は戦時に作戦参謀として多くの作戦にかかわり、東京裁判に証人として出廷、さらにその後はシベリアで抑留生活を送るなど、その体験からして本来ならば昭和史の貴重な証言者としての役割を果たすべき人物でもある。しかし彼は、いついかなる場面においてもその真髄には触れず、周辺のごく瑣末な部分にのみ冗舌となる。おそらくそうした真髄を語らない姿勢がまた、瀬島が常に参謀として「上司の信頼をもって」生き続けてこられた理由なのだろう。

著者は、綿密な取材によって瀬島が語らない昭和の裏側をかなりの部分明らかにしている。しかし、瀬島自身に対するインタビューを終えた感想は「知りたかったことになにひとつ正確には話してくれない」ということだった。おそらく、瀬島が語らなかったことは、そのまま昭和史の闇の中へ消えていくのだろう。ただ一つ、瀬島の大本営参謀としての本音がもっとも正直に吐露されていると思われる『北方戦備』という自らが記した大著は、一般の人間は閲覧することのできない、防衛庁戦史室という密室に寄託されているということである。(杉本治人)

出版社/著者からの内容紹介

戦中は大本営参謀。戦後は大商社の企業参謀。そして総理の政治参謀─激動の昭和を裏からリードしてきた男の60年の軌跡を検証する

登録情報

  • 文庫: 302ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (1991/02)
  • ISBN-10: 4167494035
  • ISBN-13: 978-4167494032
  • 発売日: 1991/02
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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66 人中、58人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
大本営参謀から戦後シベリア抑留を経て、商社の経営幹部に転じ、中曽根内閣で臨調委員として日本国家のあり方形成に参画した瀬島龍三氏についてのレポート。本書の出版当時は山崎豊子氏の小説とオーバーラップした形で瀬島伝説のようなものが流布していた時期であり、その伝説への挑戦という意味でも衝撃的なレポートであったと思われる。

本書は、瀬島伝説の中核をなすシベリア抑留の虚実にまず分け入っていく。その中で瀬島氏が見せたかったもの、隠したかったものを明かし、その中で瀬島氏がとるべきであった、そして取っていない責任のありさまを示す。これは彼の生涯を通じての生き様の典型となる態度であり、そのことを著者は瀬島氏の幼少時から陸軍大学校までの軌跡と商社における活躍の中に見出す。瀬島氏の存在は、常に滅私奉公な能吏、もっとも優秀な参謀であった。組織を動かすことにその能力の本質があり、価値は外生的に与えられ、そして責任を問われない立場であった。

私は、本書の中でもっとも重たい指摘は、瀬島氏が、その抱える秘密を明かさないことも含めて、取るべき責任を一切取っていないという点にあると思う。特に白眉は、本書p.273の財界人の指摘である。瀬島氏は自らが参謀として南の島で死なせた数多くの国民に対してどのような責任を取ってきたのか。そのような人間が公人として日本の将来を語り、そしてこれを実現する立場に立つことをどう考えるのか、瀬島氏はどう考えているのか(ちなみに、本書によれば、瀬島氏の後任の作戦課参謀は自らが死なせた英霊に詫びるべく、終戦後割腹自殺している。)。

瀬島氏という、国家的エリートとして育成され大企業や国家の意思形成において活躍した人物の生き様を通して、日本的エリートのあり方を考えることのできる、奥深いノンフィクションである。

このレビューは参考になりましたか?
62 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yjisan
形式:文庫|Amazonが確認した購入
「昭和の参謀」瀬島龍三の欺瞞と粉飾をこれほどまでに見事に暴露した本は他にないであろう。
瀬島が『不毛地帯』の壱岐正のようなヒーローでないことは一目瞭然だが、本書が瀬島を単に悪く書くだけでなく、極悪非道・冷酷無比の悪の権化でないことをも明らかにしている点は興味深い。私人としての瀬島は面倒見の良い優しい男ですらあった。すなわち瀬島は、要領が良く世渡り上手の小利口な秀才にすぎず、権力者の威光を背景に「参謀」として大勢の人間を意のままに動かすことに喜びを見出してしまった小人と言えよう。
「軍刀組」としてのエリート意識を戦後も持ち続け、さらに肥大化させた彼は、特権者である自らが一般大衆に命じるのは当然と考え、その命令の結果に対する責任を決して取ろうとしない。そのくせ「御国のため」と声高に喧伝する。他人に要求する倫理を自らには適用しないのは偽善者の常だが、巨悪になる度胸を持たない臆病な自尊心は、瀬島一人に限らず、戦前・戦後の日本型エリートに共通する特質ではなかろうか。
単なる瀬島批判に留まらず、公私を混同しノーブレス・オブリージュを果たさない日本の支配階級に対する痛烈な批判となっている点に、本書の意義は存する。
このレビューは参考になりましたか?
49 人中、40人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
日本の昭和 2002/8/17
By kissyu
形式:文庫
ベストセラー『不毛地帯』を読んだ人で、主人公、壱岐正のモデルが第二臨調委員の瀬島龍三氏であることを知っている人は何%位いるのだろう。そして、その中の何%位の人が本書を読んでいるのだろう。少なくとも、壱岐のモデルが瀬島氏であると考える人には読んで欲しい。そうしないと、昭和の歴史と日本人をことさらに美化してしまいかねない危険性を感じる。ことに、閉塞した平成の日本からは。
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投稿日: 2006/12/23 投稿者: パブロン中毒
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投稿日: 2006/9/17 投稿者: omr
「不毛地帯」読者は是非本書も併読して欲しい
「不毛地帯」で描かれている壱岐正像は,美化しすぎた瀬島龍三像である。真実の瀬島龍三は,電報握り潰し事件(台湾沖航空戦が公表されているほどの勝利ではなかったとの電報... 続きを読む
投稿日: 2006/6/4 投稿者: hffrs850
瀬島龍三の光と影
... 続きを読む
投稿日: 2006/4/20 投稿者: SPEED MASTER
なぜ、彼のような存在が、「戦後」生き残ったのか?
 東京裁判史観、自虐史観を信奉する気はサラサラない。

 ここはハッキリしておきたい。... 続きを読む
投稿日: 2006/4/18 投稿者: Nowhereman
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