瀧口修造の1958年のヨーロッパ旅行について、みすずの『コレクション瀧口修造』第1巻にその旅行記が収録されている。いきいきとした瀧口の筆致に、どれほどこの旅が彼にとってすばらしいものだったのか読者はこれまで文章から想像するしかなかった。
ところが、今回、このようなかたちで写真集が出たことを知り、「瀧口が写真?」と驚きつつ、異才の造形作家でもあった彼の写真におおいに興味をひかれ、高額商品にもかかわらず迷わず購入した。
家に届いたずっしりと重い瀟洒な箱は、まるで旅のトランクのようでもある。中には写真集のほかにもいろいろなオマケがついている。オリジナル・プリントは映画のワンシーンのようなうつくしい一枚。瀧口の筆跡のわかるポストカードや手帖もおもしろい。
肝心の瀧口の写真といえば、想像以上の出来栄えであじわい深いものばかりである。とくに、ぼんやりとした遠景の写真に瀧口の「眼差し」を感じさせる。また、こどもの写真が多いのがほほえましい。
瀧口さんの旅土産のつまったタイムカプセルを掘り出した気分である。