本来、ベスト盤というと初心者用の入門盤といった意味合いが強いですが、
こればかりは絶対に入門にはお薦めできません。
クリムゾンの作品はアルバム通して聴くことに意味があるからです。
曲目を見て特に愕然としたのが、『クリムゾン・キングの宮殿』の収録曲に関して。
ファンの方をはじめ、『クリムゾン・キングの宮殿』を聴いた方ならわかると思いますが、
このアルバムは「21世紀のスキッツォイド・マン」で衝撃的に幕を開け、
「風に語りて」で静かにクール・ダウンし、「エピタフ」で再び衝撃を受ける。
そして、「ムーン・チャイルド」の長尺のインプロに聴き入って、
「クリムゾン・キングの宮殿」で全身に鳥肌が立つほどの感動を覚え、放心状態のまま聴き終わる。
これが正しい聴き方ではないでしょうか?
私は別にクリムゾン・マニアではありませんが、
この作品は全5曲、どこも削ってはいけないように思います。
『レッド』や『太陽と戦慄』等の作品に関しても同様です。
本作を最初に聴いてしまうと、初めて『宮殿』を聴いたときの衝撃と感動が薄れてしまうのは確実です。
デビュー作である『宮殿』を聴いた誰もが受けるその衝撃は大切だと思うので、
これからクリムゾンを聴き始めようと思う方は、最初に聴くべきは
『クリムゾン・キングの宮殿』以外ありえません。
その後は『ポセイドンのめざめ』や『レッド』など、他のオリジナル作品に進めばいいと思います。
もっと乱暴な言い方をすると、このベストで長いキャリアを中途半端に抑えるよりも、
『宮殿』と『レッド』の2枚だけ聴くほうが意味があります(もちろんそれ以外もお薦めですが)。
ただ、他の方も言っていられるように、80年代以降の曲を聴けるという点で、
ある程度クリムゾンを知っている方は聴く価値があるのかもしれません。
ベスト盤ではありますが、マニア向けの作品と言えます。