・現時点で裁判員制度に関する本というと、とかく一方的な主張を書き綴った
ものか、あたりさわりなく制度をあっさり書いた本ばかりだと思います。
本書は、賛成,反対派の論客が真っ向から議論するという画期的な企画です。
こういう本が待ち望まれていたし、こういう本がもっと出されるべきでしょう。
・第一部では、まず、山本紘之大東文化大学講師の簡単な基礎知識の説明が
なされます。知っているようで意外と知らない常識のチェックになります。
次に、賛成派で、早稲田大学法科大学院教授でもある高野隆弁護士と、
反対派で、元裁判官である西野喜一新潟大学教授(『
裁判員制度の正体 』で有名)
による、それぞれの主軸となる主張が簡潔に述べられています。
・そして、本書のメインである第二部では、木村晋介弁護士を司会とした
三者による、主要論点に対する白熱した議論が始まります。冤罪の増減,
辞退の可否,仕事へのリスク,違憲性,守秘義務,死刑制度,審理の期間など
主要な争点が、網羅的にそして明快に浮き彫りにされていきます。
ところどころ結論の見えないところもありますが、対論だと相手の主張の
当を得ているところ,いないところが明らかになり、また、単著に見られる
言いたい放題の放言もないのが個人的にはいいと思います。
・法律家3人による鼎談なので、難しい話もところどころありますが、
第一部と関心ある箇所,そして木村弁護士のまとめを読むだけでも
かなり有益だと思います。おすすめです。