米国の政府中枢部に近い位置にいるエリートによる米国の覇権維持のための国際観がわかり興味深い。米国の国家戦略は,第二次世界大戦後に手に入れたグローバルな帝国の国力を維持しつつ,米国中心の外交を展開すること。このために,まず米国にとっての各地域の重要度・優先度を決める,そして各地域に米国の力の及ばない状況を作らないために地域覇権国との友好関係を構築するか,あるいは地域NO.2の国を利用して覇権国を牽制するというもの。
この点,米国は東アジアに並び立つ中国と日本を相互牽制させ,米日,米中それぞれの距離や協力関係(軍事,経済双方)を巧みにコントロールする戦略を採用すべし,場合によって韓国を日中両国を更に牽制するための同盟国として利用するという巧妙な提言となっており,したたかさを感じる。
一点,苦言すれば,このような軍事パワーバランスを駆使して外交を展開することを常に考えていると,昨今,より重要さを増しているソフト・パワーの概念が置き去りにされていることや,米国を含む先進国が国家財政問題に直面し,膨大な軍事費を維持出来なくなる懸念に直面している点の掘り下げが弱く,古い思考イメージから抜け出せていない印象を拭えない。