著者(1972年アメリカ生まれ)は1991年に来日して独学で日本語を習得とある。そして第2次世界大戦の小説を書く事になる。
多くの日本人、アメリカ人、フィリピン人が戦争を知らない世代がマジョリティーになり、戦争という過去の歴史は語り継がれたり、書物として未来へと途切れることなく流れていかねばいけないだと思う。
本書は小説という形は取るが、戦争という仕事に就いた日本兵と、フィリピンの戦闘における現地住民、米軍兵士との係わり合いを実に生々しくそして冷静に描き出していると思う。
戦争という行為が実に無意味であり、虚無であることを私たちは過去の歴史から読みとらねばいけないだろう。戦争の目的はおそらく欲望というテキストである程度説明出来るだろうし、国という枠組みの進歩と発展という文脈で説明しようとすることも可能かもしれない。目的のための手段が戦争であり、若い多くの命が銃弾、飢餓、感染症で失われた現実。主人公の森二等兵の生き様を通して筆者の思いが伝わってくる。
戦争には戦勝国と敗戦国があるのだろうが、命を落とした兵士やその親族には何が残るのだろうか。
強く思う、戦争という仕事を我々は作り出してはいけないのだと。筆者の母国ですら、いまだに大量の兵器を作り出し、若い兵士が最前線に送りだされて死んでいる。テロとの戦いという目的が果たして正しい手段で行われているのだろうか。
出版社のサイトに詳細な情報が収められている。
http://www.bretfisk.com/