淡々とした筆致が特徴の作者ですが、スピード感がありストーリー重視の展開はすいすいと読ませてくれます。いつもながら驚くのは、役所内部のものすごいリアルさ。上向き指向の上司とか刑事同士の人間関係とか、胸ふたがれるほどリアルで、役所勤めの人間としては読んでてつらくなるくらい。
しいて言えば人物造形に重きを置かないタイプの作家さんなので、刑事の個人生活もそれなりに書き込んでいるにもかかわらず、描写がすごく淡々としていてさらっと通過してしまうところが物足りないです。横山秀夫から抒情性を抜き取って、佐々木譲と足してものすごくあっさりさせた感じの作風。着眼点なども似ています。横山や高村薫を読んだ後のような、思わず涙するものすごい感動はないが、品も独創性もあり楽しめる警察小説でした。