サイコ・サイバネティクスの理論、方法論ですが、多くの心理療法で名称こそ
違うものの似たようなやり方が採用されています。
セルフヘルプ系の本を読んだことのある人なら、何度か目にしたことのある内容
もあるでしょう。
しかし、本書には”決定的な違い”があります!
それは、「言葉の使い方」。
たとえば、
・「あなたは無意識のうちに間違った信念に基づいた行動をしているのです。」
・「あなたは間違った思い込みの催眠術にかかってしまっているのです。」
前者は、セルフヘルプ本で何度も繰りかえし見かける定番の文章です。
後者は、本書の語り口です。
同じことを表現するにも、読者が「飲み込みやすい」ように、よく「かみくだか
れた」言葉で情報が伝達されると、その情報は効率的に「吸収」され、読者の
精神的な血となり肉となり、十二分に活用されるようになります。
反対に、なんの工夫のされていない文章で情報が伝達されると、同じ内容である
にも関わらず、その情報は「消化不良」のまま、読者の体にしみこむ前に
「排泄」、すなわち”忘却”されてしまいます。
どんなに素晴らしい情報を得ても、それが充分に吸収され、活用されなければ
意味がありません。
言葉の使い方の巧みさにおいて、この本は、一際、優れていると言えます。
私は心理療法、心理学の一般書、専門書を200冊以上読んできましたが、
その多くは「心の構造」を複雑に考えすぎる傾向がありました。
サイコ=サイバネティクス理論では、『サーヴォ機能』や『感情』をはじめ、
心のメカニズムを徹底的に単純化して考える工夫がなされています。
機器でもなんでも、「複雑すぎるもの」の前では、人は絶望的な気分になりやす
いものです。
この本を読んで、「シンプルであることの素晴らしさ」を痛感しました。