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漱石夫妻 愛のかたち (朝日新書 70)
 
 

漱石夫妻 愛のかたち (朝日新書 70) [新書]

松岡陽子マックレイン
5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

祖母や母の思い出話を通して漱石の生きた痕跡を記憶にとどめる孫娘が、晩年にあたって家族への思いをつづる。漱石門下の作家・松岡譲と漱石の長女・筆子を両親に持ち、長年アメリカで日本語や日本近代文学を教えてきた著者が、いまも読まれ続ける漱石作品の中から、家庭人としての漱石に注目する。祖母・鏡子につきまとう悪妻説についても、実際に触れた祖母の姿や漱石作品で書かれた妻像から漱石夫婦の関係を問い直す。

内容(「BOOK」データベースより)

漱石の夫婦愛、漱石の親子関係、漱石と家族観―死後90年以上たっても読み継がれる文豪の素顔。愛の人・漱石の真の姿。死後九十一年たった今、彼の生きた痕跡を祖母や母たちの思い出話から、孫娘が綴る。

登録情報

  • 新書: 208ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (2007/10/12)
  • ISBN-10: 4022731702
  • ISBN-13: 978-4022731708
  • 発売日: 2007/10/12
  • 商品の寸法: 16.8 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:新書
夏目漱石の孫にあたる著者が、世に言われる鏡子夫人の「悪女」説への反論として書かれた作品ですが、それ以上にタイトルにもなっている「愛のかたち」がくっきりと描き出されています。

この本は三章からなり、漱石、妻鏡子、娘筆子がそれぞれ描かれてゆきます。前半は、漱石の人となりや家族の状況が中心に描かれており、著者の言いたいことは、「鏡子」の章から「筆子」の章の前半のかけてのあたりかなと思います。
鏡子の悪阻の酷さ、それは自殺さえ試みるほどのものでした。そして漱石の鬱病。互いに大きな病との闘いがあり、それを労わり合う夫婦がそこにはありました。
確かに「剛毅」と表現される鏡子の性格は、当時の社会では認められないものであったかも知れません。そして、二つの意地っ張りで頑なな二つの魂のぶつかり合いは、相当のものだったかも知れません。でも、二人の病の後では、屹度互いに愛しみあう素晴らしい「愛のかたち」になっていたのだろうと確信させてくれます。そこには、病を通じてではあっても、相手を尊敬し労わり合う気持ちがあったのだと思います。
堅物で通っていた漱石にも不器用ながらも「愛」があり、似たもの夫婦の鏡子夫人にも同様の「愛」があったのでしょう。
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形式:新書
 もちろん著者は、生の漱石を知らない。だから、漱石についての記述は、親戚や弟子からの又聞きである(P.9)。しかし、それらも、価値の高い「未公開資料」として扱って良いだろう。例えば、松岡譲が鏡子に勧められて真珠ビジネスを始めて失敗したことなど、初めて知った(P.59)。「母の口からは一度も聞いたことがなかった」というだけあって、確かに鏡子の『思い出』では全く触れられていない。

 一方、鏡子や筆子については直に接しているため、夏目家の生き証人である。これも、記録としては貴重である。鏡子は、漱石の潤沢な印税にものを言わせて、1918年に早稲田の借家を買いとり、二年かけて建てかえた(P.114-115)。当時の大卒の月収が200円だった時代に、寝ているだけで印税で毎月2000円が約束されていたらしい(P.51)。そして、冬は湯河原、春は京都、夏は日光中禅寺湖で遊興して、豪勢な生活を送っていた(P.129)。しかし、漱石の死後30年を数えて1946年に版権が切れると、先立つものを失って(P.131)、早稲田から新大久保、そして上池上と三遷した(P.131, 136)。もちろん、こういうことも、鏡子の『思い出』には書いていない。

 孫として著者は、漱石と鏡子について、次のように総括する。

 <あらゆる意味から見て、妻は夫に従属すべきものだ>という旧式な考えを自覚していた漱石は、「形式的な昔風の倫理観に囚われ」ず<自己の存在を主張しようとする>近代性をもった祖母を、時には憎みながらも、皮肉にも尊敬し、そして愛していたというのが私の見方である」(P.153)。

 その通り。とてもよく肯ける。

 また、夏目家の写真も、貴重である。
 ・P.94-95:漱石十七回忌(1932年)
 ・P.157:1951年頃の松岡陽子と鏡子
 ・P.173:1934年頃の松岡一家(長女・石川明子、長男・聖一、弟・新児)
 ・P.195:1940年頃、明子、妹・末利子、筆子
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なかなか公平 2011/6/18
By pdamdl
形式:新書
私が思うに、なかなか公平な意見を述べていた。
昨今夏目夫妻について話す時、漱石贔屓とか鏡子贔屓とか、はたまた漱石門下贔屓とか、
何かと対立している傾向があるが、
本書ではどの立場からも思いやって、それぞれフォローし、また非難している。
父・漱石を恐れ、どちらかと云うと鏡子を慕っていた筆子さんの娘による著書だが、
著者はしっかり鏡子に対しても苦言を呈している。
むろん、漱石の弱さも指摘している。

私は個人的に、「猫」の中の夫婦描写の影響あってか
夏目夫妻こそ理想の夫婦と思っている。
だから、漱石没後の鏡子「悪妻説」など、とんでもない、
という主張であったが、
著者の言葉を聞き、彼女にも非があったのだと認めた。
それと同時に、漱石の難も改めて認識した。

その人の弱点も見つめて、やっと「尊敬している」と云えるのではなかろうか
だから、著者が批判を恐れず中立的に意見を主張してくれて、とても良かった。
どちらかに偏るなんて悲しいことだ。私は、皆それぞれ 好きである。
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