漫画家を目指す人たちを群像として描いた作品としては藤子不二雄A先生の『まんが道』が有名ですが、永島慎二さんの『漫画家残酷物語』も同じく漫画家を目指す若者群像を描いています。
といってもタッチが異なっていて、文学的、詩的、内省的な印象の作品です。
時々、志賀直哉の短編を連想したりします。
エピローグでオチをつけたりして、割合シンプルな絵のタッチですが、映画の場面のようにコマが流れてゆきます。
理想の漫画を描くことにとりつかれた若者がしばしば主人公として登場します。
商業主義に流される気持ちと自分の理想を追い求める気持ちの葛藤が全体的なテーマになっているように感じています。
仲間達が芸術論を語り合う場面も度々登場します。
今もそういうことは続いているのだろうと思いますが、1960年代は若者達が芸術や政治を熱く語った時代でした。
そのテーマの中で、優れた短編小説のようにエピソードが連なってゆきます。
何度も読み返したくなる作品です。