私自身は漢方や中医に詳しい医師を複数知っているので、
困ったときには自分の足で相談に行ける。
しかし、漢方の知識がほとんど無い病院や医院で、素人の私
ですら「えっ?」と思うような薬を処方しているのを見かけ、
度肝を抜かれることがある。どうも「Aという病気」には
「Bという薬」という程度の知識で薬を処方されているようだ。
これでは病気は滅多に治らないし、こういうお医者さんに
限って「長く飲まないと漢方は効かない」と思いこんでいる
らしく(当てずっぽうに薬を出しているようなものだから
なかなか直らないのは当然と思うのだが)、長期服用するよう
指示するので、体質に合わなかったりすると、甚だしいときは
病気を悪くしかねない。
この本の良いところは、
1.健康保険のきく方剤に的を絞ってあり、比較的馴染のある
少数(?)の薬を扱っている
2.どんな体質の人がどんな状態でどんな症状を起こしたら
どの薬を使うべきか図を交えてわかりやすく解説してある
ことで、漢方の経験や理論が解っていなくても読める点である。
もちろんあまり大きな本ではないし、これで漢方の全てが解る
訳ではない。
しかし、お医者さんには最低限このくらいは患者の状態を診て
から薬を決めて欲しいし、患者側が漢方薬もなかなか難しい
のだということを知るために、非常に良い本と思う。
巻末の病名から処方を調べられる索引にも、例えば「湿疹」の
項に三十種近くの薬が挙げられいたりして、病名と薬が一対一で
対応するものではないことも知ることができる。