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漆の実のみのる国〈上〉 (文春文庫)
 
 

漆の実のみのる国〈上〉 (文春文庫) [文庫]

藤沢 周平
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

一汁一菜に甘んじつつ財政改革に心血そそいだ上杉鷹山と執政たちの無私の心と苦悩を描き、藤沢さんの遺書とさえよばれた傑作長篇

内容(「BOOK」データベースより)

貧窮のどん底にあえぐ米沢藩。一汁一菜をもちい、木綿を着て、藩政たてなおしに心血をそそいだ上杉鷹山と執政たち。政治とは、民を富まし、しあわせな日々の暮しをあたえることにほかならない。藤沢さんが読者にのこした遺書とでもいうべきこの長篇小説は、無私に殉じたひとびとの、類いなくうつくしい物語である。

登録情報

  • 文庫: 285ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2000/02)
  • ISBN-10: 4167192322
  • ISBN-13: 978-4167192327
  • 発売日: 2000/02
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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27 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By edge walker トップ1000レビュアー
形式:文庫
藤沢さんの最晩年の作品です。

貧乏に喘ぐ上杉藩の再興を目指した藩主の物語で、全編を通して政治、経済、そしてそれに伴う権力闘争が描かれています。

どちらかというと難しい政治の話ばかりですが、読了まであっという間でした。

この中には藤沢作品に特徴だった親子や夫婦の情愛、剣での闘争シーンはほとんど見られませんが、それでいて時に登場するそうしたシーンは短い文章であっても不思議に心に響きました。特に主人公の藩主「治憲」が、壮年期になって初めて暗愚と言われ軽侮していた前藩主へのとらわれから開放され、人として善き父であった彼に格別の思いを寄せる姿は胸打たれました。

また善と悪の狭間を描くのは池波さんの得意技でしたが、藤沢さんはこの作品の中でいわば藤沢流の善でも悪でもない人々を描き切っています。

名君と忠臣が足並み揃えて当たっても藩政は結局うまく行かず、忠臣はやがて汚職で失脚し、暗君と言われた前藩主の善性を見出し、断罪された重臣の息子たちは後に許されて忠臣として藩政で活躍する。

そこには善と悪でもない人々の姿が見出せます。

主人公はやがて藩主の座を退き、そして隠居の立場から最後の改革を目指し、その結果を最後まで描くことなく物語は幕を閉じています。

そこに独特な余韻と、この後鬼籍に入った藤沢さんの万感の思いが込められているように感じました。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By rock-c
形式:文庫
ここでまさかこの歌に出合うとは全く予想しておらず、びっくりした。思わず本の角を折りました。

「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」
上杉治憲の信念を託した和歌(藩主引退後の号:鷹山)

藤原周平さん69歳、この作品が最後となり1997年1月亡くなりました。残りの原稿40枚に対し、体力が持たず書斎にあがる力も無い中、食卓で6枚を書き上げた遺品長編小説。

貧困に喘ぐ米沢藩。藩主の代替り、執政達による改革、それに立ち塞がる旧体制の重臣。
上杉治憲、藁科松伯、竹俣当綱、莅戸善政らの藩財政再建の物語。

非常に充実した内容で満足しました。やはり最後の最後、原稿6枚分には思うものがありました。また、人間としてサラリーマンとして、「歴史に学ぶ」ことはあるのですね。私 こういうの大嫌いですから避けていましたが、非常に勉強に、ためになった作品でした。

■ 参考までにウンチクを:
現代では上杉鷹山の和歌の方が馴染みがあるが元々は武田信玄の名言をコピーしたもの。
武田信玄の名言「為せば成る、為さねば成らぬ。成る業を成らぬと捨つる人のはかなさ」を変えて言ったものとされる。また、「してみせて 言って聞かせて させてみる」の言葉を残しており、山本五十六も信玄の影響を受けたとされる(*私、知りませんでした、てっきり山本五十六の言葉と思っていました。)。

■ カウントダウン藤沢周平:
藤沢作品の中で私がもっと嫌いとする「歴史&政治」の事実物語りの為、読むのを遅らせていた。上・下本の為、気合をいれ読み始めると、以外や以外スラスラと行き、面白く ついつい寝る間も惜しんで読んだ。「寝る間を惜しむ」とはまさにこのことを言うのだな?と実感しながら。。
そうこうしながら、この本の先駆をなした同著者中編小説が20年前に書かれていたと知り、既にその本を読んでいる。文春文庫「逆軍の旗」のなかの「幻にあらず」。
「食わず嫌い」とはこのことか?まー、藤沢作品ですから安心の上で読んでいますからね

■お薦め度:★★★★★
歴史人物が苦手な人でもOKです。落ち着いてゆっくり読めます。また、藤沢周平最後の作品ですから藤原ファンは是非読みたいところ。
このレビューは参考になりましたか?
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 上杉鷹山の名前は知っていたが、「財政難の米沢藩を改革した人」という程度の認識だった。
 経営者が尊敬する歴史上の人物として知られている人物だが、自分としてはあえて知る必要はないと思っていた。
 しかし、最近の日本を含めた世界を見ていて「今の日本に必要なことは何だろう?」と思い、その時に上杉鷹山と本作が頭に浮かんだので読んでみた。
 
 すぐに藩主の状態から始まると思っていたが、上巻はほとんど子供時代で鷹山自身は出てこない。
 上巻は、米沢藩が貧しくなってしまった原因、前藩主を隠居に追い込むまでが中心に描かれている。
 その中で印象に残ったのは、直丸(鷹山)のあるシーン。

 直丸が米沢藩の歴史についての講義を受けている時、『人別銭』という「希代の悪税」とわれる税金についての話がでたとき、なにを思ったか急に泣き出した。
 教師の松伯がなぜ泣いているのかを問いただしたところ、直丸は「すまぬ、しかしそれでは家中・領民があまりにもあわれである」と話した。

 このシーンを読んだとき脳を揺らされた感覚がした。
 今の日本に国民を思い、泣く政治家が何人いるだろうか。またそんな人間が何人いるだろう。
 おそらく片手で数えるほど、もしかしたらいないかもしれない。
 ここで注意しなければいけないのはこの時の直丸が12歳だったということ。
 つまり、立場などは関係ないということ。
 だからさっきの質問に「いや自分はまだ下っ端だから」とか「そんなのは自分で意見が言える立場になってからだ」とは言えない。
 
 今の日本人に欠けているものは「立場やしがらみなどに左右されない」ことだと思う。
 これは政治家であるかどうかは関係ない。すべての人に共通することだ。
 まずそのためにまず、「泣く」「悲しむ」「憂う」ということだと思う。
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