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26 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
密度の濃い傑作。,
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レビュー対象商品: 漂砂のうたう (ハードカバー)
木内昇は「茗荷谷の猫」からのファンですが、長編時代小説ということで読んでみました。江戸から明治へ。新時代の波に乗れず、鬱々と生きる主人公。 現代にも通じる、そうした主人公の周辺を魅力的な脇役で固め、宿場町の遊郭のざらっとした空気感を見事に出した、間違いなくこれは傑作でしょう。 時代小説を読むとき、私は、アミューズメント・パークに遊びに行くような気持ちで読んでいます。 過去という「今ではないどこか」の世界にふっと遊びにいく。 だから、その世界にすんなり入れるかどうかが、私にとっては大きなポイントなのです。 完全に、今の現実を忘れさせてくれるかどうか。 その意味では、冒頭から引き込まれました。 砂塵の舞う宿場町。どこか疲れたような人たち。新時代の掛け声とは裏腹に、生きることそのものにとまどうような人間たち。 元武士。遊女たち。正体の知れない噺家。 一気に読み進めていくうちに、現実と幽玄の世界の境がしだいになくなっていく。 このあたりは、木内昇の真骨頂でしょう。 花魁が意地を見せた花魁道中のシーンは圧巻。 有吉佐和子の「真砂屋お峰」の花見のシーンを思い出しました。 着物好きは必読。 意地を通すって、こういうことなんですよね。 ゆれてばかりの主人公と対照的に、この花魁の「ゆるぎなさ」は痛快です。 いざとなれば、女のほうが度胸がすわっている、ということかも。 読んでいる間、とても豊かな時間を過ごせました。 明治初期の宿場町を、まさに「体験」することができました。
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
作品世界に とことん浸らせてくれる秀作,
By INAVI (日本国、東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 漂砂のうたう (ハードカバー)
今回は芥川組に喰われた感のある直木組ですが、私は受賞4作の中で、まず本作を読みました。その選択は大正解!さすがな出来です。 明治十年の東京は根津の遊郭街、そこに身を置く主人公と周囲の人物を描いた作品ですが、 その時代と場所をまるで一片の風景画のように、情緒たっぷり且つ克明に描いており、落語が登場人物にも作りにも用いられていることもあって、古典落語を聞いているように、気付けば、そこに自分もいる気分になること請け合いです。 さりとて、単なる上手い時代小説にとどまらず、いやむしろ、時代風景を描き込んだからこそ、人物の一人一人が心に染みてくるのです。 際立った展開や派手な伏線もクライマックスもありませんが、そうした作品を味わえる者には、格段の味わいとなることでしょう。 主人公の過去をほとんど描かないことは、他の人物の過去がサラッと明かされても、それが何かストーリーに大きく関わるわけではないことと合わせて、まさに漂砂という言葉を感じさせてくれます。人生の負けがこんだ者達の終着駅のちょい手前みたいな場所にいる者達の過去になんて意味は持ち難いというところが上手く描けています。ダメな人を輝かせない中から何を見出していくか、漂砂の「うたう」ものを聴き取れるか?読み手も試される作品でもあります。 最近は舞台や恰好だけ時代を移しただけのようなコスプレ時代小説(バチモン)も少なくありませんが、本書は、時代も場所も現代とは異なる舞台と人々を描き込むことで、読者もそれを読み込むことで、現代や自分に通じるものを得られるものと思います。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
江戸のにおい,
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レビュー対象商品: 漂砂のうたう (ハードカバー)
吉原や花魁を描いた小説が好きですが、この小説はそれよりも江戸の町を包んだ時代の空気が描かれていて素晴らしかったです。時代に飲み込まれながら、それでも漂うように身を任せて生きてゆく市井の人々の姿は現代とも重なって、読んでいて切なくなりました。それがこの小説の良さなんだと思います。 自分を律して生きることが、自分も周りも救うんだ、大切なんだと感じました。
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